新刊『おつかれ、今日の私。』を上梓したジェーン・スーさん。本書には、この困難な時代を生き抜くすべての人たちへの優しいねぎらいの言葉がつまっています。

そこで、悩み多きミモレ世代がジェーン・スーさんに人生相談。友達付き合いから生き方まで、時に痛快に、でも愛情たっぷりにスーさんが答えてくれました。
 

 

ガリガリ削ってくる友達といるより、1人の方が良くない?


――『おつかれ、今日の私。』の中には、「おつかれ」というねぎらいの言葉が何度も登場します。これはやはり今この時代にねぎらいが必要であるとスーさんがお感じになったからでしょうか。

コロナによって時代の強度が下がっているのを実感していたんですね。とにかくみんな今までとは違うレベルの疲れに見舞われている。だから、励ましとか発破をかけるよりも、ねぎらいの方が私の言いたいことが届くだろうし、そうしたいなと思って書きました。

――弱った友を労わりながら助け合って生きている姿が描かれていて、すごく憧れました。スーさんの思う自立した大人ってどんな大人ですか。

家族というユニットでの役割分担が必要な場合を除いて、経済的に自立していること。精神的に自立していること。支配を受けていないこと。その上で助けが必要なときにちゃんと助けてほしいと言えるし、人が困っているときに助けられることかな。

――友達付き合いって大人になっても難しいです。助け合いは大事だなと思う反面、あまりにも愚痴が多いとしんどいなと思ったり。逆に友達に愚痴を吐きすぎて、嫌な思いをさせちゃったかしらと反省したり……。

誰かに聞いてほしい話があるのは自然なことだと思うし、それを誰かが言ってきたら聞いてあげること自体は決して不健全なことじゃないと思います。でも、愚痴の応酬が常態化すると、確かにあんまり楽しくないですよね。

どこからが愚痴かがちょっとわからないけど、私自身は嫌なことがあっても、あまりそれを人には言わないタイプになりました。昔は違ったんだけど、口にすることで、もう1回マイナスな気分が甦ってくるのが嫌になったんですよ。周りにも、あまり愚痴を言ってくる友達はいないかな。私にとって友人関係はお互いを楽しませるためのもの。一緒にいて嫌な気持ちになるくらいなら友達ではいないかも。

――ただ、この年になると新たに友達をつくるのも難しいじゃないですか。そうなると、なかなか人間関係を整理できないんですよね。

ガリガリ削ってくる友達と一緒にいるより、1人の方が全然良くないですか?

――た、確かに……。

友達は後からでもできるし、自分を差し出すような付き合いはやめた方がいいと思うなあ。