なぜ、寝るときまでスマホが手放せないのか?

日本人が屋外でもマスクをするのは「多数派バイアス」と「システム正当化」のせいだった!人生に影響を与える「認知バイアス」の世界_img0
写真:Shutterstock

「明日も仕事だし、そろそろ寝よう」と思って横になったのに、「その前に少しだけ⋯⋯」とスマホチェック。

ほんの5分くらいのつもりが、あっという間に時間が過ぎて、気づいたら夜中の1時、2時だった!

わたしたちはなぜ、寝るときまでスマホを手放せないのでしょうか?

その原因の1つが「ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)」です。これは「人は達成できなかったり中断したことが、達成できたことよりも気になり、よく覚えている」という現象。

 

この認知バイアスの特徴を知ってか知らずか、ネットで配信されるニュースの多くは意味深な見出しで読者の興味を引き、ページが分割された構成で内容が中断され、ユーザーに次へ進むアイコンを押すように促しています。

この構造は基本的にショッピングサイトやSNSでも変わりません。

それでも「ツァイガルニク効果」の働きをやわらげるための対策はあります。1つは区切りをつけること。もう1つは物理的にスマホを遠ざけることです。

自分のなかで、その事柄を完結させるようルールを決めましょう。そして、自分なりの完結を迎えたら、スマホを机の引き出し、寝室とは別の部屋にしまい、充電。物理的に手の届かない場所に置きます。とくに学習をするときはこれが大切です。

ちなみに、「ツァイガルニク効果」の働きは決してネガティブなものではありません。その特徴をつかんでうまく使えば、集中力を高める効果が望めます。

たとえば、わたしは学生時代、よく細切れ時間に勉強をしていました。電車での移動中、単語を覚えるといつもよりはかどりました。

同じようにいまも、出張時の新幹線や飛行機の機内での原稿執筆や資料作成は集中力高く行なうことができます。これもまた「ツァイガルニク効果」の働きです。

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認知バイアスは、仕事、恋愛、人間関係、お金、勉強、健康など、人生のあらゆる分野に影響を与えています。つまり、認知バイアスを理解し、味方につければ、あなたの人生の幸福度が高まり、より楽しくラクに生きやすくなるのです。

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『あなたの世界をガラリと変える 認知バイアスの教科書』
著者:西 剛志(にし・たけゆき) SBクリエイティブ 1760円(税込)

ここ最近注目され、脳科学の分野でも最先端の研究テーマ「認知バイアス」とは、脳のバイアスにより認知にズレが出てしまうこと。私たちの考えや人間関係に大きく影響を与える認知バイアスを知って、人生をもっとラクに楽しく過ごしましょう!
 


著者プロフィール
西 剛志(にし・たけゆき)さん

脳科学者(工学博士)、分子生物学者。1975年、宮崎県高千穂生まれ。東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦まで1万人以上をサポート。テレビやメディアなどにも多数出演。著書に『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』『脳科学者が教える集中力と記憶力を上げる 低GI食 脳にいい最強の食事術』『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)などがある。著書は累計25万部を突破。


構成/大槻由実子


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