天海さんのアドリブをちゃんと打ち返せるように。その緊張感が楽しくて仕方がないです


——ドラマ『合理的にあり得ない』で松下さんが演じるのは、主人公の探偵・上水流涼子の助手である貴山伸彦。天海祐希さんのバディ役を務めることで話題になっていますが、撮影現場ではどんな刺激が得られていますか?

松下洸平さん(以下、松下):上水流さんは明晰な頭脳と美貌の持ち主ですが、僕から見ると天海祐希さんご自身とリンクする部分が多いです。言葉で表すのが難しいのですが、一挙手一投足に「この人についていけば間違いない!」と思わせてくれるような説得力があるんですよね。いち視聴者としても、天海さんは出演作品を数え切れないくらい見てきた存在。俳優としても人間としても勉強になることばかりなので、撮影現場でジロジロ観察させていただいてます(笑)。

 

——貴山は“IQ140の天才”かつ“イケメン”で“英語もペラペラ”という設定になっていますが、かなり役づくりが難しい人物なのでは?

松下:IQ 140という時点で貴山は僕とはかけ離れている人物なのですが、女性が苦手だったり、唯一の癒やしが猫だったり、いろいろと個性的な一面がありまして。簡単には理解できない謎めいた人物だし、最初は演じることにハードルの高さを感じました。ひとまず、役づくりはルービーックキューブを練習することから始めました。これは貴山の特技として加えられたドラマ独自の設定なのですが、他にも英語のセリフを練習する必要があるし、とにかく宿題が多くて。最終話の頃には痩せ細っているかも(笑)。でも、そういう細かな部分を妥協せずに追求することで貴山を魅力的なキャラクターに仕上げていきたいです。

 

——衣装にもこだわりを注がれているそうですね。

松下:貴山はあまり人に心を開かず、他者との間に壁を作るキャラクターであることを意識して、衣装は首元の締まったシャツやセーターを選んだり、トップスをタックインするようにしています。すごく細かい部分ですが、服のチョイスや着こなしでも貴山の近寄りがたいオーラを演出できたらいいなと。

——少し現実離れした難しい役柄にトライするのは楽しいですか?

松下:これまで演じたことがないような役柄に挑戦できることは、やっぱりシンプルに嬉しいです。現時点での自分の力量を試せる絶好の機会ですし、どこからどう見ても貴山にしか見えない領域まで持っていくことが今の目標です。そして、バディの掛け合いにおいて、天海さんはアドリブを加えながら多彩な球を投げてくださるので、ちゃんと全部を打ち返せるように、すべてのシーンで集中力を研ぎ澄ませています。その緊張感が楽しくて仕方がないです。

 

——ドラマの見どころをアピールしてください。

松下:このドラマは衣装チェンジがとても多いです(笑)。潜入捜査で変装をするシーンが多いのですが、そこがクスって笑ってしまうポイントだと思います。これまで見たことがないような天海さんの姿に注目して欲しいですね。社会派な要素もありつつ、毎回、上水流さんと貴山がありえない方法で依頼を解決していくので、ぜひ爽快感を味わっていただきたいですね。