まずは生歌披露。カラオケの音響効果もなくお酒も入っていない中、かなりの羞恥プレイ
好きな曲を課題曲にできるということで、選んだのは優里の「ドライフラワー」。先日もレッドブルの優里のイベントに、Z世代に混じって行ってきました。何度も聴いた曲ですが出だしなど音程が取りづらく、カラオケから遠ざかっていたので歌う前から惨敗の予感。キーを確かめるため、前日にひとりカラオケに行って試しに歌ったのですが、厳しい感じでした。正直人前で披露するのは気が重かったです。
まず、ミニー・Pさんがピアノを弾いて、マイクなしで歌うことに。何人もいる前で、カラオケの音響効果もなくお酒も入っていない中、自分の歌とは言えない発声を晒すのはかなりの羞恥プレイでした。そんな私の歌を聴いた後、ミニー・Pさんは「伸び代しかないですね!」と嬉しそうにおっしゃいました。「こんなに福笑い……じゃなかった腹話術くらいしか口が開いていないのによく声が出ますね。驚きました」。
ミニー・Pさんの声が澄んでいて無邪気なので、そんなコメントもスッと心に入っていきます。これこそボイトレの力です。
最初に、地声がどのくらい出るか、ピアノのキーに合わせて声を出しました。ちょっと声を出しただけで既に疲労感が。
「今2オクターブちょっと出ています。ボイトレすればここからもっと伸びますからね」
まずは姿勢をチェック。肩が丸まっていたので、正しい姿勢を教えてもらいました。
「骨盤と床を垂直にして、骨を下から積み上げる感じで立ちます。肩と首は力を抜き、顎を引きます」
この姿勢で息の通り道がまっすぐになり、楽器として音を響かせることができます。
ミニー・Pさんは、歌う上でも大事なテクニックを教えてくださいました。私の歌が抑揚がなかったらしく、「歌には変化をつけていかないと。腹話術のようにずっと口の開け方も同じだと変化が出ません。『ドライフラワー』の場合、Aメロはしゃべるように、Bメロはちょっと大きく。サビは思い切り大きく、思いをぶつけるように歌いましょう。Bからサビに向けて盛り上げていきます。また、顔の筋肉が動いていないので、ストレッチで身体の筋肉を緩めるところからはじめましょう」と、アドバイスいただきました。
吐き気と戦いながら、プロの歌唱テクニックを体得&アンチエイジング。わずか1時間で効果アリ!
ミニー・Pさんは右手で八の字、左手で円を描く、という動きから、逆回しにしたり左右を変えたり、といった動きで、肩の力を抜き、声域を広げられると教えてくださいました。
「人は、頭で“ここまでが私の声の限界!”と決めていらっしゃる方がほとんどです。ですので、左手と右手で別々の動きをすることで左脳のメモリーをいっぱいにします。何も考えられない位のところで発声をしていくと、本来肉体的に可能な音域まで無理なく出ます」
アドバイスに従い、動きながらピアノに合わせて「あーあーあー」と声を出していきます。
「もっと口を大きく開けて」
「すみません、吐きそうになってきました」
「それは合ってます。シンガーも歌の練習の時、吐きそうになりながら練習するそうですよ」
口を開けることに慣れていなくて、大きめに開けるだけでも気持ちが悪くなるのですが、そう聞くと多少の吐き気も乗り越えられる気がしてきます。
「あと、おすすめなのはガニマタスクワットです。声がよく出るようになるだけでなく、骨盤底筋や内転筋も鍛えられます。喉だけで歌っていたのが、お腹に力を入れる感覚も体感できますよ」
ミニー・Pさんは「あ〜あ〜あ〜」と発声しながら両手を上げ、ガニマタで腰を落としてストレッチ。最初の「あ~」で肩の前に手を置いて発声し、次の「あ~」で手を上に上げながらガニマタで腰を落とす。最後に同じ立位に戻って「あ〜」と発声。腰を落とした時に、高い声になります。
「MISIAさんも高い声を出す時、手を上げたり、腰を落としていますよね。こうやって歌うと高い音が出やすくなります」
MISIAさんくらいになると、高音を出す時に、高音の周波数だけでなく中音と低音の周波数もバランスよく出ているとか。それであの声量になるんですね。素人がボイトレをするとプロのすごさを改めて実感します。さらに、唇をたてに開けると、高い音が出やすくなるそうで、吐き気と戦いながら挑戦。
また、1拍目の音や、単語の最初の一音をはっきり、大きな声で歌うとうまく聞こえる、というテクニックも教わりました。例えばサビ部分の「きっと」の「き」、「ずっと」の「ず」など。
腕を後ろから前に回しながら歌うことで、抑揚や強弱をつけてリズミカルに歌うことができます。足踏みをしながら歌っても、リズムが取りやすくなるそうです。また、身体を折り曲げる歌い方では、自然とお腹に力が入ります。ミスチルの桜井さんも、たまに身体を折り曲げて歌っているそうです。三浦大知さんでもよく見る姿です。ミニー・Pさんのアドバイスに従い、様々な体勢を試しながら「ドライフラワー」を歌いました。
だんだん肩や首の力も抜けて、声も大きくなってきました。喉からお腹を意識して、感情を込めて声を出していたら、優里の思いが伝わってきて、歌詞が深く理解できたようで、感動がこみ上げます。
「最初の時より響いていますね。表情も明るくなって、姿勢も良くなりました。声も9音広がりましたよ」
ミニー・Pさんに評定していただき、1時間で効果が出て感動です。Z世代に人気の曲への理解が深まったことでもアンチエイジング感が。忘れかけていた歌心を少し取り戻しました。とはいえ歌唱力はまだ人に聞かせられるレベルではないので、自分のために、健康法としてひっそりと歌っていきたいです。
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撮影/大坪尚人(本社写真部)
構成/露木桃子
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