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「あなたが感じる悩みや憧れる選択は、社会の在り方と密接につながっている」【甘糟りり子×Keiko】

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センスを司る「月星座」に着目した引き寄せ占星術を得意とし、新月・満月を使った願望達成メソッド「パワーウィッシュ」を提唱している占星術家Keikoさん。「パワーウィッシュ」は、世界6ヵ国語に翻訳され海外でも大反響! Keikoさんと様々なゲストの方との対談を通して、「風の時代」本番を生きていくヒントをご紹介する連載です。

「あなたが感じる悩みや憧れる選択は、社会の在り方と密接につながっている」【甘糟りり子×Keiko】_img0
 

今回、Keikoさんと対談するのは、作家・甘糟りり子さん。著書に『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』など、妊娠と出産を題材に、さまざまな女性の選択を描いた短編小説集がある。甘糟さんの「女性の数だけ選択、正解があっていい。社会がそれを後押しするようになれば」という思いと、Keikoさんの「風の時代は個性の時代。地の時代は同じゴールを全員が目指したけれど、風の時代は人の数だけ正解がある」という見解の一致から、今回の対談が実現!

「あなたが感じる悩みや憧れる選択は、社会の在り方と密接につながっている」【甘糟りり子×Keiko】_img1
 

甘糟りり子さん
鎌倉在住。ファッション、グルメ、映画、不妊治療に至るまで幅広いジャンルの注目情報を盛り込んだエッセイや小説でファンに支持される。ほかの著書に『中年前夜』『エストロゲン』『鎌倉の家』『バブル、盆に返らず』などがある。現在、文筆家でもある母・甘糟幸子さんと暮らす日常をインスタでも発信している。故・向田邦子さんとも親交の深かった幸子さん著作『料理発見』の復刻版が刊行され、解説をりり子さんが執筆。りり子さんの料理の腕前や器に対する審美眼は甘糟家で脈々と受け継がれてきた才能の一つ。

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Keiko

月を使った開運法「Lunalogy®」および新月満月を使った願望達成法「Power Wish®」創始者。(株)電通退社後、「占星術は占いではなく、星のエネルギーを読み取るスキル」というポリシーのもと、独自の切り口で開運情報の提供を開始。Keiko’s Power Wish Academyでは毎月新月と満月の日に願いを叶える効果的な文章の書き方(パワーウィッシュ)を天空図付で解説中。『Keiko的宇宙にエコヒイキされる願いの書き方 新月・満月のパワーウィッシュ』『パワーウィッシュノート2023』など著書多数。

Keiko’sパワーウィッシュアカデミー https://mi-mollet.com/powerwish

 


Keikoさん(以下Keiko):今日はお話できるのを楽しみにしていました。りり子さんは妊娠と出産にまつわる切実な思いを抱えた女性たちを10年以上前から小説で描いてこられたんですね。

甘糟りり子さん(以下甘糟):Keikoさん、はじめまして。実は占星術には詳しくないんですが、このテーマに関してはぜひKeikoさんとお話ししたいと思って対談をお受けしました。

──甘糟さんの小説には様々な立場で揺れる女性たちが登場します。40代目前の女性弁護士が、離婚調停に携わっているうちに卵子凍結を初めて知って心が揺れたり。妊活、不妊治療、羊水検査、予定外の妊娠など、もう女性の数だけ選択があると思わせてくれる短編集です。占星術的にはこのような流れについて、何か示唆はあるのでしょうか?(編集部)

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「産まない」「結婚しない」ことに理由が不要な世の中になってほしい!
 

Keiko:占星術的には大きく時代が変わったのが2019年末。250年ぶりに「地の時代」が終焉を迎えて「風の時代」が幕開けとなりました。「地の時代」は多くの方が同じゴールを目指して切磋琢磨する時代。理想や成功のイメージが単一的ですから、女性であれば、結婚、妊娠、出産までワンセットで捉えられやすいですよね。それが「風の時代」になって、個性の時代へ移行していきますから、人の数だけ正解や理想がある状態が少しずつデフォルトになっていくでしょう。

甘糟:私は1964年生まれですから「地の時代」に20代30代を過ごしていたわけですね。同世代の編集者や大企業に勤めている女性の友人たちはキャリアが充実してくる頃に、出産か出世のどちらかの選択を迫られていました。

Keiko:「地の時代」の象徴的な現象ですよね。「風の時代」になったからといって、もちろん、そういう価値観が一気になくなるのではなく、新しい社会的な制度や価値観に対する攻防を経て徐々に変わっていくことになると思います。特に、2023年3月に冥王星が「風の時代」を象徴する水瓶座に入りましたから、その流れは加速していくと思います。

甘糟:2015年に刊行した『産む、産まない、産めない』という短編集には、実は後悔があるんです。タイトルに反して、産んでない女性が出てこないという反応もたくさんいただきました。産まない女性の話を期待した読者を落胆させてしまったと。女性は産むことが当たり前、出産は女性の最大の喜びであるという、世間の価値観に従って書いたところがあります。

Keiko:時代の大きな流れに乗って著作が進むというのは、誰しもあると思います。私は占星術は人生を豊かにするスキルとしてみなさんに使って欲しいという思いで情報を発信しています。簡単にいうと時代の流れを利用して、追い風にしていこうというもの。「地の時代」の価値観が大勢を占めている中で、逆風の著作を発表するには相当な勇気が必要ですし、そこに共感して道を選ぶ読者にも勇気が必要です。そこに逆風はありますから。今は「風の時代」に入って、りり子さんの思いも発表しやすいのではないでしょうか。

そう考えると、私の母は私に結婚してほしい、出産してほしいを含めて子どもの人生に口を出したことのない、「地の時代」では珍しい人な気がする。

甘糟:その2年後に刊行した『産まなくても、産めなくても』には産まない女性を登場させようと意気込んで書きましたが、こちらでも少々後悔が残りました。東京マラソン出場を目標に、出産を「あきらめる」マラソン選手の物語だったのですが、前作同様に産まない人が出てこない、という反応が少なくありませんでした。

Keiko:それはどうして?

甘糟:産まないことに確固たる理由は必要ないんですよ。私を含めて、ことさらそれを望んでいない女性はたくさんいます。何かを理由にして出産をあきらめる、という描き方をしてしまって、本当に私はわかっていないなあと本を出した後に実感しました。

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