パワハラによる短期離職を経験し、就活市場という荒海を漂流し続けた筆者。転職エージェントに相談しても、「あなたに市場価値はない」と門前払い。「新卒で就職した会社に正社員として3年以上務めないと土俵にすら立っていない」「キャリアにブランクがある人は問題ありの烙印を押され敬遠される」――。日本の雇用システムでは、「普通」の枠からはみ出た人はことごとく相手にされない、ということを骨身にしみて実感したのでした。

 

そんな筆者に「キャリア支援」の新たな考え方を教えてくれたのが、下村英雄さんの著書『社会正義のキャリア支援:個人の支援から個を取り巻く社会に広がる支援へ』(図書文化社)です。

 

本のタイトルにもなっている「社会正義のキャリア支援」とは、端的にいうと、労働市場における「普通」からコースアウトした人や、そもそも土俵に立てない・立たせてもらえない人たちのための支援です。マイナスからスタートした人が、目の前の採用してくれる企業に「とりあえず就職する」のではなく、本来持っている力を発揮し、安定した収入を得ていく。そのための支援を考え続けていらっしゃるキャリア支援の専門家・下村英雄さんにお話を伺う本企画。

今回は、転職エージェントに何度もノックダウンさせられてきた筆者が、長年のモヤモヤを下村さんに質問。ズバッと答えていただきました!(聞き手=ライター ヒオカ)

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世界のキャリア支援の最重要ワードは「社会正義」。労働市場からコースアウトしても切り捨てられない国へ【下村英雄さん】 >>

 

下村英雄(しもむら・ひでお)さん
労働政策研究・研修機構副統括研究員。⽇本キャリア教育学会前会⻑。⽇本産業カウンセリング学会元監事。筑波⼤学⼤学院博⼠課程⼼理学研究科修了。博⼠(⼼理学・筑波⼤学)。主著に『キャリアコンサルティング理論と実際 6訂版』(雇用問題研究会)、『成⼈キャリア発達とキャリアガイダンス:成⼈キャリア・コンサルティングの理論的・実践的・政策的基盤』(労働政策研究・研修機構/平成26年度労働関係図書優秀賞)、『キャリア教育の⼼理学:⼤⼈は, ⼦どもと若者に何を伝えたいのか』(東海教育研究所)、『キャリア・コンストラクション ワークブック:不確かな時代を⽣き抜くためのキャリア⼼理学』(共著/⾦⼦書房)、ほか多数。