「キャリア支援を行う公的機関」は「相談」するにはもってこい
――はい。どこも門前払いでした。履歴書を見て溜息をつかれ、5分くらいで追い返されたこともあります。そういうところに限って、短期離職した人に特化していたり、職歴がない人の支援を謳っていたりするんですけど……。
下村 私たちも、転職エージェントに行って傷ついてしまう方が多い現状は問題だと思っており、対策が必要です。ただ、転職エージェントの方たちもビジネスですから、なかなか限界もあるんです。転職エージェントに話を聞きに行くと、自分たちは幅広い層への支援を打ち出しているもののカバーできているとは言い難く、「労働市場において上澄みの上位層、スキルがある求職者が主な対象になってしまっている」というジレンマもあるようです。
――そうですよね。転職エージェントが、いわゆるハイクラスを想定しているというのはよくわかります。でも、そこで支援を受けられない人は、どこに相談すればいいのでしょうか?
下村 転職エージェントと別の形では、「キャリア支援を行う公的機関」の方が、ビジネスからは一線を引いているので、本質的な相談がしやすいかもしれません。求職者の長期的なキャリアを考える視点を持って支援してくれることが多いので、企業の人材ニーズに左右されることなく、話をしっかり聞いてもらえる可能性は高くなると思います。
各地にある「キャリガク」という選択肢
――公的機関というと、やっぱりハローワークですか……?
下村 それもありますが、ハローワークの業務は求職者相談のみではないため、職員のみなさんが忙しいんですよね。そこでおすすめなのが、「キャリア形成・学び直し支援センター」、通称キャリガクです。上位のキャリアカウンセラーの資格を持っている相談員も多いですし、オンラインや対面での相談など、無料で様々なサービスを受けられますよ。
――仕事について相談できる公的機関って、ハローワークだけだと思っていました。転職で検索すると、転職エージェントの広告が大量に出てくる。しかも、「あなたに伴走します」「未経験の仕事に挑戦する人の味方です」なんて、手厚い支援をしてもらえると勘違いしてしまうような情報ばかりで。もちろんちゃんと支援してくれる転職エージェントも中にはあるかもしれませんが……。なかなか、公的機関の情報が入ってきづらいなと感じます。
下村 具体的な仕事を紹介・斡旋するのが「転職エージェント」ですが、キャリアについて何かしら不安や悩みを抱えている方には、その手前の「キャリアカウンセリング」が重要です。いきなり転職エージェントに話を聞きに行く前に、公的機関でゆっくり話を聞いてもらいましょう、ということをもっと広める必要があると感じているところです。
――下村さんのお話をお聞きして、もはや転職エージェントが公的機関と連携してくれたらいいのになと思いました。そこまでカバーできないと初めから言ってもらえた方が、こちらとしても「じゃあ、これは公的機関で相談しよう」と切り替えることができますよね。
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