正解はひとつじゃない。一緒に考えることが重要

転職エージェントに一蹴された人たちへ。転職を考えたらまず利用してほしいハロワ以外の「公的機関」とは?【下村英雄さん】_img0
 

――誰にでも、仕事でやりたいことを実現をしたい、自分の能力が活かされる仕事がしたいと思っていいというのは、すごく励まされます。もし、キャリアにブランクがある、労働市場で価値のある職歴がない。でも就きたい仕事がある、仕事で自己実現をしたいという相談を受けた時、下村さんだったらどのようにアドバイスされますか。

 

下村 我々キャリア支援者の仕事は、一にも二にも「職業選択の自由を守る」というところから来ているんです。好きなように仕事を選んでいいし、好きなように自分の仕事をやっていいんです。自分のやりたいことを抑えて転職活動すれば、もちろん就職はしやすいし、それなりの給料をもらえる可能性も高いでしょう。一方で、自分のやりたいことを追求するのはとてもいいことだし、楽しいと思います。ただ、就職しにくいし、給料は低くなるかもしれない。

キャリア支援をする人の仕事は、そうやって情報提供をして、選択肢を提示することです。その上でクライアントがどちらのコースを選択するか、考える手助けをする。クライアントが「自分は自己実現コースで」と言えば、じゃあそっちで行きましょうと。どっちが正解か、ではなくクライアントと一緒に考えることが重要だと思います。
 

インタビュー前編
世界のキャリア支援の最重要ワードは「社会正義」。労働市場からコースアウトしても切り捨てられない国へ【下村英雄さん】>>
 

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『社会正義のキャリア支援: 個人の支援から個を取り巻く社会に広がる支援へ』
著者:下村英雄 図書文化社 2970円(税込)

長期失業、格差、貧困、外国人、性的少数者……社会の縁辺(えんぺん)で苦しむ人々の問題解決の鍵を握るのが、社会正義=社会的公平性を実現するキャリア支援です。世界に広がる社会正義のキャリア支援、その理論解説から実践まで教える本書。キャリアアドバイザーやキャリアカウンセラーなどに携わる人だけでなく、高校生や大学生でも読めるよう、ですます調でまとめられた本書は、キャリアに対して不安を抱く人すべてにヒントを授けてくれる一冊です。


イラスト/Shutterstock
取材・文/ヒオカ
構成/金澤英恵

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