天皇陛下、皇后・雅子さまが即位されてから4年のときが経ちました。皇后になられてからホワイト系のお召しものを選ばれる機会が増えた雅子さま。白が持つ清らかな輝きは、皇后となられた雅子さまにとてもよくお似合いです。
今回は、皇后となられた雅子さまの装いを振り返り、「白」に込められた想いを紐解きます。
今回お話しを伺ったのは…
“祈りの想い”を装いに込めて。雅子さまが「白」を選ぶ理由
――皇后となられた雅子さまを拝見していると、白や淡いベージュなど、ホワイト系の明るい色のお召し物を選ばれる場面が増えたようですが、ご心境の変化などはあるのでしょうか?
石原裕子さん:皇室の一番のお仕事は「祈ること」。日本において「白」というのは祈りの際の装束として扱われてきた神聖な色です。皇后というお立場になられましたから、祈りの想いを込めて、ホワイト系のお召し物をお選びになっているのでしょう。雅子さまが白をお召しになればなるほど、皇后さまだからこそお似合いになるお色なのだと納得しますね。茶系や青系などの色味があるお召し物もありますが、白の域からでないような淡い色を選ばれることが多いですね。
――雅子さまのコーディネートは以前からマニッシュな印象のものも多くありましたが、白の装いでもその着こなしは健在で、とてもよくお似合いです。雅子さまらしいコーディネートのポイントはありますか?
石原裕子さん:雅子さまはテーラードスーツの着こなしがとってもお上手! 細かいあしらいで変化をつけて、おしゃれに着こなしていらっしゃいます。スーツスタイルという縛りがある中で、女性らしさを持たせつつ色んなスタイリングで着こなし、さらには天皇陛下とのリンクコーデも取り入れていて、本当によく考えられているなと思います。美智子さまは繊細でエレガントな、柔らかいデザインがお好みでしたが、雅子さまは辛口なデザインがお好みで、本当に対照的ですね。
――お帽子とあわせたコーディネートも印象的です。
石原裕子さん:そうですね。雅子さまもいろんなお帽子をかぶられてきましたが、お洋服はテーラードにタイトスカートできちっとしたデザインが定番ですから、お帽子もボーラー(山高帽)など、辛口なスーツによく似合う男性的なデザインのものを選ばれています。
美智子さまのような、小さくてお花をあしらったようなものはお召しにならないですね。昔、皇太子妃であった雅子さまが園遊会にご参加される際に「帽子にお花の飾りをつけては」と提案があったそうですが、雅子さまはそういったことはなさらなかったそうです。かっちりとした帽子が雅子さまのスタイルなのですね。
――雅子さまらしさを生かしつつ、皇后としての気品も表現されているのが、近年の雅子さまのスタイリングなのですね! ここからは、皇后になられてから雅子さまがお召しになった装いを振り返りながら、雅子さまらしいコーディネート術を解説していただきます。
石原裕子(いしはら・ゆうこ)
ファッション評論家。長年に渡りパリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのプレタポルテコレクションを取材し、世界のファッション業界事情に精通している。即位関連の一連の儀式の間、メディアで雅子さまの装いを分かりやすく解説。現在、テレビ・雑誌・講演などで活躍中。「ファッションチェック」という言葉の発案者でもある。