東京都心生まれ、小学校から大学まで女子校育ち、卒業後は大手弁護士事務所の秘書として数年働いた後に弁護士と結婚し寿退社......という、まるで非の打ちどころのない人生を歩んできた静香さん(仮名)40歳。
結婚後に夫の浮気が発覚したものの、「出産は女の最大の幸せ」と信じて娘さんを出産されました。けれど産後に本人曰く「頭のネジが外れた」と言い、年下の男性と不倫関係に。その後、社会復帰やボランティアとの出会いを通し、彼女がようやく知った「本当の幸せ」とは、一体何だったのでしょうか。
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不倫を“健全”と言い切る主婦の驚きの理由...夫の浮気、産後うつに悩み「頭のネジが外れた」彼女の告白 >>
職業:事務、ボランティア活動
家族構成:夫、10歳の娘
「専業主婦です」と言うのが恥ずかしい
静香さんが仕事に復帰したのは、27歳で寿退社をして以来、約10年ぶりでした。
もともと優等生気質で何事も器用にこなすタイプの女性であり、また学歴も以前の職歴も申し分ないため、業務委託での事務作業の仕事は思ったより問題なく開始することができたそうです。けれど長い専業主婦生活を経たあとでは、「職場」というものの空気に慣れるのが何より大変で、社会復帰直後は「浦島太郎状態」だったそう。
「驚いたのは、私がお手伝いする会社には、綺麗で穏やかな女性が何人もいたこと。しかも皆さん既婚だったり子どももいたりします。『お局さま』って言葉ももう古いんでしょうね。そんな感じの人はいなくて。もちろん大変なことはあると思いますが、皆さん楽しそうに働いていました」
静香さんは、「どうして私は結婚したくらいで仕事を手放したんだろう?」と何度も後悔したそう。
「一体いつの間に、女の生き方ってこれほど変化したんでしょう。少なくとも私の周りでは、少し前までは経済力のある男性と結婚して専業主婦になった女が勝ち組だったはずなのに。
もちろんバリキャリと呼ばれて頑張っている友人もいましたが、数は今ほど多くなかった。結婚しても仕事を辞めない子に対して『あの旦那さんは生活費くれないのかな?』なんて同情したりして。呑気ですよね」
誤解なきよう補足しますが、昔から仕事に邁進する女性はいましたし、既婚未婚や子どもの有無などで勝ち負けが決まるという考え方は危険だと思います。ただ、静香さんは育ってきた環境上、そうした価値観が決して悪気はなく染み付いていたよう。
そして、たしかに最近は「玉の輿」「寿退社」「お局さま」などの言葉もあまり聞かなくなりました。静香さんと同じように、時代の変化を感じている女性も少なくないかもしれません。
「バリキャリはどんなに美人でもモテない、残念、みたいな漫画やドラマもたくさんありましたよね? 以前は『独身です』『子どもはまだです』と答えるのが恥だと思っていたのに……。子育てもようやくひと段落したあと、何が起きたと思います?
気づいたら、『専業主婦です』『仕事はしてません』と答えることに引け目を感じるようになってたんです。冷静になると、信じられない展開。女性も働くべき、経済的自立すべき、みたいな声がだんだん大きくなってきましたが、しばらくは聞こえないフリをしてました。だって10年も働いてなかったんです。もう無理、ついていけない、って思ってました」
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