作家・ライターとして、多くの男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた佐野倫子。その赤裸々な声は、まさに「事実は小説より奇なり」。価値観が変化し続けるなかで、現代の夫婦問題を浮き彫りにします。
今回お話を伺うのは「学歴や経歴、強みがまったく違うタイプのご夫婦」。
結婚生活を語るとき、しばしば「夫婦は価値観や育った環境が近いほうがうまくいく」という話になります。では、それらがまったく一致しなかった場合はどうなるのでしょうか?
そんなとき起こりうる問題と、それを乗り越える方法を考察したいと思います。
英明さん(仮名): 45歳、運送業のドライバー兼配達員。
元ヤンの男性と、マジメ一筋の女性が結婚したケースを検証
今回取材を申し込んだ早苗さんは、誰もが知る名門大学を卒業していらっしゃいます。現在は都内で週2日アルバイトをしている3児の母。事前にいただいた経歴を見ると、学生時代は恵まれた環境を活かして、努力を重ねていらっしゃったことが容易に想像できます。
「私は都内の私立女子校に6年間通ったあと、1年浪人して法学部に進学しました。父は銀行員で、昭和という時代もあり、安定していいお給料をもらえていたのでしょう。母は専業主婦で、私と兄もさほど苦労なく中学から大学まで私立に通わせてもらいました。
私の感覚からすると、ごく平凡なサラリーマン家庭です。……でも、彼と出会って、それを普通と思ってしまうこと自体が世間知らずだと知りました」
早苗さんはそう言いながら「百聞は一見にしかずということで……」と、数枚の紙焼き写真を見せてくれました。そこには、ドラマに出てくるような「昭和の不良男子」が写っています。よく見れば楽しそうな表情で、まだ幼さも残る子たちなのですが、とにかく派手な髪、派手すぎる車にバイク、典型的な不良ファッション。返答に詰まって無言で拝見していると、早苗さんはその中でもひときわワルそうなピンクのつなぎの子を指さしました。
「これ、主人です」
ビールのCMに出てくる女優さんを彷彿とさせるエレガントな早苗さんと、こちらのやんちゃそうな男性が結婚とは意外を通り越して、さまざまな疑問が浮かびます。まず一体どこで接点があったのでしょうか?
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