数年ぶりに日本に戻って来た本場イタリアのオペラ。6月15~18日の「パレルモ・マッシモ劇場」東京公演を、〔ミモレ編集室〕のメンバーが体験してきました。冷めやらぬ感動をレポートします。

 

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〔ミモレ編集室〕私がナビゲート!
ゆけったさん

ゆけったさん

「オペラは人生を豊かにする」と信じて、〔ミモレ編集室〕で愛好家目線でオペラについて語ってきました。メンバーの皆さんが共感してくれ、映画版のオペラや実際の公演にもご一緒したりしました。この輪を広げ、オペラにしかない興奮をもっとたくさんの人に知ってほしい。


生の声の迫力ってすごいぞ、オペラ


梅津 奏(ミモレブロガー):本格的オペラ公演は初めてですが、生の歌声の迫力がすごい。マイクを使っていないんですよね。いきなり感動しました。

ゆけった:ホールが声でいっぱいになって、体が震える迫力でしょう?「椿姫」では、主役ヴィオレッタの恋人、アルフレード役のテノール、フランチェスコ・メーリがとりわけ素晴らしい声でしたよね。

イタリアの超一流歌手の声と技術を惜しみなく日本の観客に披露したフランチェスコ・メーリ。ホールを興奮の渦に。

梅津 奏:最初、誰がアルフレードかわからなかったけど、声を出した瞬間に歴然。板橋さんとも幕間に話してましたが、始めはぱっと見の印象がお堅いイメージで、役に合っていないかと思ったけど……。

板橋 香奈(ミモレブロガー):そうそう。でもいつのまにか美声に酔いしれてしまって、最後には道ならぬ恋に苦悩するイケメンにしか見えなくなった。今写真を見てもそう思う(笑)。

梅津 奏:歌と演技、オーケストラ、合唱、そしてときどきバレエと、オペラという総合芸術の分厚さと説得力はすごい。物語や登場人物の感情がめちゃくちゃ伝わってくるので、他のクラシックコンサートなどと比べて、むしろわかりやすいです。オペラは全然ハードルが高くない

ゆけった:今回、合唱やオーケストラもイタリアのいきいきとした響きにあふれて、欧州のオペラハウスにいるような気分を味わえましたよね。

Sumi:「椿姫」のパーティーや、「ラ・ボエーム」のパリの街中のにぎやかなシーンでは、たくさんの出演者が舞台に登場して、古き良き時代、ベルエポックのパリのアール・ヌーヴォーや、ロートレックの絵をモチーフにしたセットや衣装にときめきました
 

オペラ歌手ってやっぱりすごい!スター歌手の魅力を目の当たりに


梅津 奏:「ラ・ボエーム」では、主役の二人がチャーミングでした。情熱的なロドルフォ(ヴィットリオ・グリゴーロ)と可憐なミミ(アンジェラ・ゲオルギュー)で、イメージにぴったり。
グリゴーロは力強く、自由自在な歌声でぐいぐいと舞台をまとめていましたよね。表情や仕草もしっかりロドルフォでした。ゲオルギューのプラチナボイスも役に繊細な表情を与え、ミミの悲しい運命の説得力が満点でした。

ゆけった:2幕最後のパリのクリスマス・イブのシーンで、合唱も含めて全員が歌っているところ、盛り上がっている最中にさらにグリゴーロの声が突き抜けて、さすが、イタリアン・テノールの声の魅力を余すところなく伝えてくれていましたね。
ムゼッタ役のジェシカ・ヌッチオの美しい声にも陶酔しました。最終幕でもうミミが動けないシーン、静けさの中で彼女の歌声で悲しみが倍増していました。

「ラ・ボエーム」の公演を熱い歌と演技で引っ張った、ヴィットリオ・グリゴーロ。この人が歌えば物語が始まる!

Sumi:「椿姫」主役、ヴィオレッタ役のエルモネラ・ヤオは、幕が開いた瞬間から病が進んでいく様子を作りこんでいて、ものすごい演技力。スタイルも抜群で、今まで観た中で一番リアルなヴィオレッタでした。

ゆけった:まさに歌う女優。演技にかまけることなく、歌唱も手抜きなくきっちりしているところに舌を巻きました。

板橋 香奈:恋人同士の演技のくっつき具合もリアルで世界観を作っていて、物語にどっぷり浸かれます。
何度か続けて公演を観ると、歌手の組み合わせで公演の印象が違ったり、歌手の調子の違いにも気が付いたりして、オペラへの理解がより深まったのも新しい発見でした。