艶やかな浴衣姿で歩く女性たちを、「どこかでお祭りか花火大会でもあるのかな」とぼんやり見つめながら、やっぱり着物って素敵〜、などと思いを巡らすこと早幾年。便利さゆえに「ウォッシャブル」「アイロン要らず」の服ばかりが増えていき、「大人になったら着こなしてみたい!」と思っていた着物には未だ手つかずの状態だと、毎年夏になると気づかされる筆者です。
着物を思わず敬遠してしまうのは、「着付けって難しそう」というイメージ、そして「我が家でどう収納したらいいのかわからない」という理由も大きいのではないでしょうか。逆をいえば、この2つがクリアになれば、着物に対するハードルもぐんと下がりそうです。そこでご紹介したいのが、鳥取で呉服店を営む池田訓之さんの著書『君よ知るや着物の国』。正統派でありながらも、「着物をもっと自由に」と教えてくれる本書は、着物を気楽に楽しむための着付けの考え方&お手入れ方法についても紹介。今回は特別に、その一部を抜粋してご紹介します!
着物は「着るのが難しい」衣装なのか?
「着物を着てみたいけれど着付けができないから諦めている」「着物を着るたびに美容院にお願いしなくてはいけないのが面倒」「世に存在する着付学校や着物学院の授業料はかなり高いと聞いたので二の足を踏んでいる」などという声をよく耳にします。世間には着付学校や着物学院と呼ばれる着物の学校が多々存在します。これは着物離れが進んでいくなかで、なんとか着物人口を増やそうとの想いから始まったと推察します。
ただ、学校が商業化しどんどんカリキュラムが多くなるにつれて、授業料も高額になっていきました。結果的に卒業しても多くのことを教わり過ぎて消化不良になってしまう傾向です。私の呉服店のお客さまのなかにも、若い頃に着物学校に通ったけれど、着られないという方が結構いらっしゃいます。確かに着物の世界は奥が深いです。私も今も日々勉強中です。しかし、「サザエさん」のフネさんの時代までは日本人は毎日着物を着ていたのです。本来着物を着て生活できるようになるというレベル(着物に帯は太鼓結び)なら、まったく難しくはありません。
着付けは新入社員でもすぐマスターできる
私の呉服店の入社式では、新入社員は自分で着物を着て出席します。もちろん、入社前は着物をほぼ着たことがない人たちばかりです。入社式の前に2日間集中して着付けを教えると入社式当日は自分でササッと着られるようになり、着崩れることはありません。今までできなかった社員は皆無です。あとは、毎日仕事中は着物なので2週間もすれば慣れて、10分から15分くらいできれいに着られるようになっていきます。
自分が毎日着物を着ているので、いかに楽に着ることができるかをスタッフと共有しています。そういった経緯もあり、創業して半年くらいから、6回で着られるようになる着付教室を考案し、今も続けています。この着付教室は前結びでしかも帯を結ばないやり方です。年を重ねて手が後ろに回らなくなっても、力がなくても帯を結ぶことができます。
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