長い人生で、待つときがあってもいい


——仕事を手放して引退する選択肢が頭に浮かぶこともありましたか?

工藤:今のところ、引退を考えたことはないです。この先に何が起きるか分からないし、精神的にも肉体的にも歩みを止めるべきタイミングが訪れるかもしれませんが、そういうときはファンクラブで会議を開き(笑)、自分の言葉で直接お伝えします。

【短期集中連載③】工藤静香「嵐の中で無理に飛び立たなくてもいい」Z世代も注目する“個性”を育てた、自分なりのルール_img3

 

ーーとなると今、活動を続けるいちばんのモチベーションはファンの存在ですか?

工藤:「ファンのため」と言うのはおこがましい気がするし、恥ずかしいのですが、ツアーをしたりテレビに出たり、忙しくさせてもらっていて、ファンの方々がとても喜んでくれていると思います。子育て期間中に私の活動を待ってくれていた方々に、その時間を埋めているというか、返している感じです。

 

——誰しも長い人生の中で浮き沈みを経験すると思いますが、子育てが落ち着いて精力的に活動している工藤さんを見て、励まされている女性も多いと思います。やりたいことを我慢しなければならない期間があったとしても、また前に踏み出せる日がくるのだと。

工藤:そうですね。やっぱり嵐の中で飛び立とうとしても、上手く飛べないじゃないですか。私自身、慌てて何かをやろうとしても良い結果にならないことは何度も経験してきましたし。長い人生で、待つときがあってもいいと、思えるようになりました。

今の若い人たちは山ほど情報を持っているし、私なんかよりも世の中のことを知っている部分があると思います。早いスピードで変化する社会に順応しようとして、みんな頑張っていますよね。それは本当に凄いこと。でも、焦らないでほしいです。人生で行き詰まって、にっちもさっちもいかない状況に直面しても、地道に準備をしておけば、また必ず羽を広げて飛び立てる日がくると思います。

工藤静香インタビューVol.4
工藤静香「苦しいことを乗り越えると強さって貯まっていくんです」SNSのコメント欄をオープンにしている理由」

『勇者の旗』

【短期集中連載③】工藤静香「嵐の中で無理に飛び立たなくてもいい」Z世代も注目する“個性”を育てた、自分なりのルール_img4

 
2023年初となるシングル。工藤静香自身が作詞を手がけ、「生きている中で、どうしても避けられないような辛い事があっても、明日へ生きようと、勇気が湧く」強いメッセージが込められたバラード曲。表題曲と同じく作曲家・村松崇継とのタッグで制作された『孤独なラプソティー』も収録。2023年8月2日(水)発売! ¥1320(税込)

お問い合わせ先/
クリスチャン ディオール tel. 0120-02-1947


撮影/田上浩一
スタイリスト/岸本怜子
ヘア&メイク/菊地美香子
取材・文/浅原聡
構成/坂口彩
 

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