高齢になった親の耳が遠くなった気がする、実家のテレビの音が大きいと感じる……。そんな経験がある方も、多いのではないでしょうか? 今回は、難聴と認知症との関連、耳が遠くなった方とのコミュケーションのポイントについて、山田悠史先生に聞きました。

教えていただいたのは……

 

山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビライブニュースαレギュラーコメンテーター、NewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)、コロナワクチンの正しい知識の普及を行うコロワくんサポーターズの代表。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。
Twitter:@YujiY0402

 


編集:高齢になった親の耳の遠さを実感する方が多く、難聴と認知症との関連を気にされている方もいるようです。

山田:なるほど。私は耳鼻科医ではありませんので、老年医学の専門医としての視点でお話したいと思います。「視覚」「嗅覚」「聴覚」の中で、高齢者に起こる最多の問題が聴覚障害、いわゆる「難聴」です。特に加齢による難聴はかなり頻度が高く、高齢者の3~4割に発症すると言われています。

編集:想像より多いです!

山田:そうですよね。ほぼ2人に1人に近い世界ですから、程度の差はあれ、多くの方が経験する症状だということが、おわかりいただけるのではないかと思います。そして、難聴と認知症発症リスクとの間には、強い相関が知られています。