息子、まさかのギャン泣き
不思議な神経質モードになってしまい2日間寝られずにいたので、空港に着いたときはけっこうフラフラ。
でもさすがに飛行機では寝られるだろうから、まあよしとするか……と、いよいよゲートで息子と夫とお別れしようとした次の瞬間。もし、死ぬ間際に走馬灯なるものが本当にあるのなら、私はあの光景をきっともう一度見ることになると思います。
息子がニヤニヤおどけた顔で私を見ながら、ゲートへ向かう列にトコトコ入っていったのです。ちょっと引き腰で、ニヤニヤ、母の様子を伺いながら。
「ダメだよ! そっちは飛行機乗る人だけで、あなたはお留守番でしょ?」
咄嗟にそう言って手を引くと、息子のニヤニヤ顔が少しずつ少しずつ曇っていきました。眉毛がだんだんつり上がり、口がへの字に曲がり、母をじっと睨む目が潤んでいく。「やばい」と思ったのと同時に、息子は「ぼくもいくうううううう」「ママがいいいいいいい」「やだああああああ」と大泣きを始めました。
「ごめん、ごめん、ごめんね」「だって5回寝たら帰ってくるって何回も言ったじゃん」「ごめん、ごめん」「電話いっぱいするから」「おみやげもいっぱい買ってくるよ。何がいい? おもちゃ? おかし?」「ねぇごめん」思いつく限りの言葉を並べて弁明しても、爆発してしまった息子の号泣は止まらず。
この展開は想定外でした。息子はパパっ子だし、休日や夜に私がたまに出かけても泣いたり不機嫌になることはほぼありません。保育園にも0歳から預けていたからか、後追いもなかった。私と離れることに対してここまで激しく泣かれたのは、もしかしたら産まれて初めてだったかもしれません。
しばらく抱っこし、色々と言い聞かせ、夫にも協力してもらい、落ち着いたところでお別れをしましたが、夫に抱っこされた息子は私がゲートの中に入るまでずっと半ベソ顔で力なく手を振っていて、後ろ髪を引かれまくり。
出国手続きを済ませてすぐにテレビ電話をすると、案の定まだ泣いてる息子がスマホに現れました。
「あのさ、ぼくママだいすきだから、かなしくていっぱいないちゃうんだよ」
「ママもだいすき、なんだけど……」
うまく言葉が続きませんでした。なにそれ。ママも大好きだし、今すごく悲しい。ちょっと泣いてる。なのにママ、これ、やる意味あるんだっけ? 自分含め家族全員に負担をかけて、あれ? 何のために、これやってるんだっけ?
今、世界一安いと言われる日本の空港のエルメスも見る気にもなれず、ちょっと落ち込み、水だけ買ってぼんやり搭乗時間を待ちました。スマホには数枚追加で息子の写真が送られてきて、ほぼ半ベソ顔でしたが、最後はアイス片手に笑っていました。
飛行機ではアイマスクに耳栓、メラトニングミまで持ち込み、さすがに寝られると思っていたのに、あのトコトコ列に入っていく息子の姿、泣き顔、セリフが頭に残ってしまい、結局ほぼ眠れずホノルルに到着しました。
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