猫と一緒に暮らす人にとっては、家族のように大事にしている猫と1日でも長く暮らせるのは幸せなことです。その一方で、猫も飼い主も年齢を重ねていくことになります。
それでも、猫とともに暮らしてきた時間はかけがえのないものですし、シニアになった猫だからこそ、愛着もひとしおです。そこでミモレでは、シニア猫(ここでは10歳以上と定義)と暮らす人たちのお話に耳を傾けてみようと思っています。
今回、シニア猫について話をしてくれたのは、フリーライターの日高むつみさん。東日本大震災の時に初めて保護猫を受け入れたのですが、日に日にお腹が大きくなり、実は妊娠していたことが発覚! 猫との暮らしは波乱の幕開けでしたが、今は出身地である島根県にUターンし、夫婦と猫2匹の“大人4人”での同居生活を楽しんでいます。
日高むつみさん(50代)フリーライター、エディター。
島根県松江市生まれ。好きが高じて食をテーマに20余年、食べては書く多忙な日々を送っていた。2021年、高齢の父の入院がきっかけで夫とともに松江市に移住を決意。現在も地元と東京でライターとして活動しながら、畑仕事に精を出す。60代で編集者の夫、しろいさん、くろいさんと暮らしている。
しろいさん(12)その名の通り、真っ白なメス猫。両親はノルウェージャンフォレストキャットとスコティッシュフォールドらしく、とあるブリーダーの元で生まれたものの、多頭で管理できなくなったことから、江ノ島のペットショップが里親を募集することに。しろいさんはそのうちの1匹で、当時は約1歳。日高さん宅の初めての猫となったが、譲渡後に妊娠が発覚し、5匹を出産する。
くろいさん(10)その名の通り、真っ黒なオス猫。知り合いのフリー編集者が地域猫を保護。貰い手が付かなかった子猫のうち1匹を、里親が見つかるまで日高さんが一時預かりすることに。なかなか譲渡先が決まらず、結局、日高さん宅に正式に迎え入れられることになった。
私と夫は、雑誌などのライターや編集の仕事をしています。東京で暮らしていた頃はとにかく忙しかったですね。住んでいた家の向かいの猫が、たまに遊びに来てくれることがあって、この頃から猫っていいなと思っていました。
その後、雑誌の鎌倉特集で取材したのがきっかけで鎌倉を気に入り、夫婦で鎌倉に引っ越しました。2011年のある日、夫が江ノ島のペットショップで「里親募集」の張り紙を見つけ、「気になるから行ってみようよ」と言いました。鎌倉で暮らすようになって、猫を飼ってもいいんじゃないかと思い始めていたこともあり、二人で見に行くことにしました。ただし、私たちは仕事が忙しかったので、つきっきりで子猫の世話をするのは難しいから大人の猫がいいね、と話していました。
私たちがお店に行くと、長毛の猫が8匹、短毛の白猫姉弟が2匹いました。長毛はブラッシングなどのケアが必要なので、短毛の方がいいかなと思っていたら、短毛の姉猫が夫の膝の上に乗ってきたんです。それで「この子にしよう!」ということになりました。これがしろいさんです。
しろいさんは1歳くらいでうちに来たのですが、よく見るとだんだんお腹が大きくなっていきました。譲渡してくれたショップの人も気づいていなかったのですが、実は妊娠していたのです。慌ててケージや毛布を用意して、出産に備えました。ところが、しろいさんは1匹目を産み落としたのは、布団で寝ていた夫の顔の上(笑)。すぐさま毛布に移動させた後、しろいさんは数時間おきに子猫を産み続け、合計5匹も出産しました。
猫を飼うのが始めてだというのに、この日から子猫5匹のお世話が始まったので、本当に大変でした! しろいさんはノルウェージャンフォレストキャットとスコティッシュフォールドの血を引いていたからか、子猫5匹はみんな耳折れ猫。無事、5匹とも飼い主が決まり、しろいさんも去勢手術をして、やっと落ち着いた日々を迎えることになったんです。
くろいさんが我が家に来たのは、しろいさんが来た2年後の2013年。友人のフリー編集者が保護猫活動をしていて、生後約4ヶ月の黒猫の引き取り手が見つからないので、うちで一時的に預かることになりました。でも、夫が「白猫と黒猫っていいよね。うちの子になりますか」と言い、正式にうちの子になりました。
しろいさんとくろいさんは、お互い我関せず。たまにくろいさんがしろいさんにちょっかいをかけたり、猫パンチを食らわすことがあっても、喧嘩をするわけではなく、そこそこの距離感を保っているようでした。しろいさんは我が家の“宣伝部長”で、誰かが家に遊びに来ると率先して出てきます。一方のくろいさんは他人がいると隠れてしまうので、友人の間では“幻の猫”と呼ばれています。
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