猫たちがうちに来たことで、夫婦の喧嘩が減ったような気がします。口論をしていると、空気を感じ取ったしろいさんが間に入ってくるのです。そんなこんなで、夫婦と猫2匹の鎌倉生活にすっかり慣れた頃、島根県松江市に住む私の父が突然倒れて緊急入院し、私が単身で松江へ。新型コロナウィルスの感染拡大が深刻な時期で、頻繁に首都圏と行き来するわけにもいかず、夫と話し合い、一家総出で鎌倉から松江の実家に引っ越すことを決めました。

一旦鎌倉に戻り、引っ越しの準備を進めている最中に父の容態が急変。慌てて松江に戻ったものの、父はこの世を去りました。私たちが松江に移住する最大の理由がなくなったものの、「父がくれたいい機会」ととらえて、そのまま引っ越すことにしたのです。コロナに直面し、今後の働き方や暮らし方について考えさせられましたし、地方でもフルリモートで働きやすくなったのも後押しになりました。猫たちにはそんな私たちの決断に付き合ってもらった感じです。

鎌倉時代のしろいさんとくろいさん。

鎌倉と島根の移動手段はいつも車。猫と一緒に出発し、静岡、京都で、ペット可のホテルや友人宅に1泊ずつして、3日かけて行っていました。猫たちはこの旅程を何度か経験していましたし、実家で過ごしていたこともあったので、引っ越しはスムーズでした。

車での長距離移動は慣れっこ?

松江の住まいは日本家屋で2階建て。鎌倉の家は平屋だったので、猫たちは階段で2階に登れるのが面白いらしく、しろいさんもくろいさんも、よく1,2階を行き来していて、むしろ運動不足解消になっています。2匹ともストレスがたまるとなめすぎてなめハゲをつくってしまうのですが、松江では今のところ落ち着いています。むしろくろいさんは、鎌倉で引っ越しの準備をしている時の方がストレスだったようで、背中からお尻にかけて血が出るほどなめてしまっていたのですが、すっかり完治しています。

来たばかりの頃のくろいさん。この後どんどん成長して、今や堂々の7kgに。

私たち夫婦も、松江で暮らすようになってから、家で仕事をする時間が増えました。かつては不在にする時間も長かったですし、夫も仕事で数ヶ月全国各地を飛び回っている頃もあったので、その頃に比べると、猫たちと一緒に過ごす時間はかなり長くなりました。

 

しろいさんは12歳、くろいさんは10歳なので、2匹とも人間の年齢でいうとアラ還。私たち夫婦も似たような年齢なので、同世代の“大人4人”が適度な距離感で同居しているみたいなもの。2匹とも、見た目的には加齢の変化は感じないですし、健康面でも特に問題なし。逆に私たちが猫たちをしっかりお世話するためにも、健康に気を遣わなきゃと思うようになりました。松江に移住したことで時間的な余裕ができたので、歯科医院に行くなど、日々のメンテナンスをするようになりました。

夫婦のどちらかに何かあったらどうするか、信頼できる動物病院を見つける、など、決めておかなくてはならないことはまだまだあります。猫も人間も、お互い健康に気をつけて、この穏やかな暮らしを少しでも長く続けたいと願っています。


イラスト/Shutterstock
文・編集/吉川明子 

 

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