日本のインフルエンサーが米国(ハワイ)に入国しようとしたところ、不法就労と勘違いされ入国拒否されたという話がネットで話題となっています。米国はもともと入国審査が厳しい国ですが、近年、入国を拒否されたり、別室で長い審査を受けるケースが増えているようです。背景には国際社会の変化があり、もしかすると海外旅行の感覚も以前とは変わりつつあるのかもしれません。

写真:Shutterstock

ある女性インフルエンサーがハワイに入国しようとしたところ、係官に止められ、別室で長く尋問された上、入国が認められず、日本に戻らざるを得なくなりました。現在、米国はビザなし渡航の場合でも、事前にネット上で渡航認証(ESTA)を受ける必要がありますが、彼女はESTAの認定を受けており、帰りのチケットも取っていたそうです。

 

ところが運悪く、1人で渡航したことや、宿泊先が自分の名義で予約したものではなかったこと(先にハワイに入国した知人がコンドミニアムを予約していたそうです)、写真を撮りたくて多くの洋服を持っていたことなどが重なり、就労を疑われてしまいました。

職業は会社員兼インフルエンサーということで、当初、ESTAの欄には、会社員と書いていたそうですが、尋問中に、インフルエンサーもしていることを伝えたことで、さらに状況が悪くなってしまったそうです。

日本は島国のせいか、ビザ(査証)の制度をよく理解していない人が多く、このインフルエンサーに対してはかなりの誹謗中傷が行われたようです。

確かに、2つ職業を持ち、片方の職業だけを記入していたことは虚偽と言えば虚偽ですが、もともとビザなし渡航ですから、副業としてインフルエンサーをやっている程度であれば、ESTAには会社員と記入する人が多いのではないかと思います(旅慣れた人ならなおさらかもしれません)。

逆にビザなし渡航であるにもかかわらず、個人事業主も兼ねていると申告すれば、かえって面倒なことになる可能性もありますから、ESTAの記入について絶対的な不正行為であると批判するのは行き過ぎでしょう。ネット上の発言を見ていると、このインフルエンサーを感情的に批判している人は、あまり海外旅行の経験がない人たちのように思えます。

ただ、今回のケースは、疑われても仕方がない面があるのも事実です。

イミグレーション(入国審査)時に、別室扱いになったり、入国を拒否されるかどうかは、係官の判断次第ですから絶対的な基準が存在するわけではありません。しかしながら、1人で入国していることや、宿泊先が知人名義での予約だったこと、(どのくらいの量かは分かりませんが)滞在期間と比べて多すぎる服を持っていたことなどを考え合わせると、別室扱いにする係官がいてもおかしくないと思われます。


この話以外にも、就労を疑われ入国できなかったケースがネットでよく報告されています。最も多いのは、何度も繰り返し米国に入国しているパターンでしょう。

 
  • 1
  • 2