——映画『アンダーカレント』は豊田徹也さんの同名コミックを実写化した作品です。真木さんはもともと原作漫画のファンだったそうですが、どんな部分に惹かれたのでしょうか?

真木よう子さん(以下、真木):たしか原作漫画を読んだのは20代前半で、それから長い年月が過ぎていましたが、映画化の話をいただいてすぐに内容を思い出すことができたくらい、印象に残っている作品でした。私は漫画をジャケ買いするタイプなので、最初は絵のタッチに惹かれて手に取ったと思うのですが、やっぱり地に足の着いたヒューマンドラマが描かれていることが『アンダーカレント』を好きになった要因ですね。少年漫画ではなかなか得られないような深い余韻があって(笑)。

真木よう子「漫画好きとして、実写化されるときの複雑な気持ちわかります」恥じない生き方で過去と向き合う_img1

ワンピース ¥75900/アカネ ウツノミヤ 右イヤーカフ ¥143000、右イヤーカフパーツ ¥35200、左イヤーカフ ¥77000、左イヤーカフパーツ1 ¥55000、左イヤーカフパーツ2 ¥49500、左中指に付けたリング ¥539000/ oeau(晴海 ショールーム) 靴 ¥40700/ヨシト(ニューロンドン)

——主演映画が5年振りであることにプレッシャーは感じましたか?

真木:今回は共演者にすごい人たちが集まってくれて、しかも原作のイメージにピッタリな方々だったので、私としては、ただただ「ありがとうございます!」という気持ちでしたね。自分が演じる主人公の関口かなえに関しても、彼女の心情や行動を不思議に思うシーンがなかったし、私自身とイメージが重なる部分があるからこそオファーをいただけたと思うので、あまりプレッシャーを感じることはありませんでした。でも漫画が好きだからこそ、大好きな作品が実写化されるときの複雑な気持ちが分かるので。ファンの方々に「コレじゃない」なんて思われないように、撮影現場に原作漫画を持ち込んで、細かな表情を確認しながら演じることを心がけていました。

真木よう子「漫画好きとして、実写化されるときの複雑な気持ちわかります」恥じない生き方で過去と向き合う_img2

 

——かなえの身近な人たちを演じたのは、永山瑛太さん、江口のりこさん、リリー・フランキーさん、真木さんと共演回数が多く仲が良い方々ばかりです。それがお芝居にどんなプラスの作用をもたらしたと思いますか?

真木:瑛太も江口もリリーさんも、友だちであり、尊敬している役者なので、主演は私だけど彼らに食われると思っていたし、どうぞ食ってくださいと思っていました。劇中でかなえは辛い過去と向き合うシーンが多く、私も苦しみながら演じていたのですが、瑛太やリリーさんが発したセリフに救われる瞬間があったんですよ。かなえと同じように他人に言えない過去の記憶と一緒に生きている人が、この映画を見て、今よりも少し視野を広げて、幸せに生きていくためのヒントを掴んでもらえたら嬉しいです。本当に素晴らしい共演者の方々のおかげで、原作漫画と同じように深い余韻が残る映画になっていると思います。

 

——物語のキーパーソンとなる謎の男・堀を演じた井浦新さんの印象は?

真木:共演させてもらったのは今回が2回目なのですが、新さんは私にとって樹齢1000年の木みたいな存在。何があってもブレずにいてくれるし、間違えない人だから、本番が始まったら安心してぶつかっていけるし、頼ることができました。繰り返しますが、ただただ「ありがとうございます!」という気持ちです。

——公式サイトのコメントで真木さんは「役に入り込むあまり、気を失うことがあった」と明かしています。どんな状況だったのしょうか?

真木:正直に言うと、それはちょっと話を盛っていますね(笑)。すごい暑い日に、冬の設定だったので室内で洋服を着込んで撮影していたら、ふらっとして倒れてしまうことがあって。きっと熱中症だったと思うのですが、それを認めるのはなんだか恥ずかしいので、芝居に集中しすぎた影響にしようとしたら、その話がどんどん広がってしまったんですよ。なので、ここで訂正させていただきます(笑)。でも、かなえに入り込んで、ずっと彼女と同じように苦しみながら演じていたことは間違いありません。