紬も環境が違えば夜々になっていた?


『silent』第3話、紬が湊斗に「仕事がしんどい」と明かす場面がありました。同期から仕事を押し付けられたり、セクハラまがいのことをされても、我慢をしてきた紬。ここで湊斗が会社から引き離してくれたからよかったものの、もしも続けていたら心が壊れてしまっていたかもしれません。

可愛く生まれてきたのは、プラスなことばかりではない。『silent』では深く追及されませんでしたが、『いちばんすきな花』では深雪夜々(今田美桜)がそれを体現しています。

夜々は、男性からは異性というだけで勝手に恋愛ととらえられ、女性からはそんな姿を妬まれてしまう……という苦しい役どころ。可愛いモテ女子という点では、紬と同じですよね。それなのに、自己肯定感が高くない理由は、学生時代にあると思います。


紬は、社会人になってからはいろいろありましたが、学生時代は恋人の想がいて、親友の横井真子(藤間爽子)がいて……とキラキラした青春を歩んできました。その一方で、夜々は小さな頃から受け入れてもらえない経験を重ねてきてしまった。

もしかしたら、紬も学生時代の環境が違えば、夜々のように寂しさを抱えて生きていたのかもしれません。『silent』の高崎南高校、まじでいい人しかいないので、夜々も転校しちゃえばよかったのに……。

 

当たり前に“2人組”になれていた紬と、“2人組”からあぶれてしまったゆくえ。みなさんは、学生時代「2人組を作ってください!」と言われた時、どうしていましたか? わたしはひとりになるのが怖くて、先生が説明をしているうちから“一緒になろう”と仲の良い子に目配せをしていた気が……。いつも一緒に行動している友だちが休んだ時は、“誰とお弁当を食べよう”って朝から考えていました。別にひとりでなんでもできるのに、まわりから「ひとりじゃん。なんかあったの?」って思われるのが怖かったんですよね。

でも、大学生になってからは不思議とひとり行動ができるようになりました。時間がない時はひとりで食堂でごはんをかけこむこともあったし、ひとりで受講する授業もあった。高校生までは、自分がまわりのことを気にしているから、同じように気にされているのかもしれない……と思ってしまうのかもしれないですね。

『いちばんすきな花』は、ちょっぴり窮屈だった学生時代をふわっと浄化させてくれるドラマです。主要人物の4人は、かなり闇深いので、暗い気持ちになってしまう部分もありますが……。同じ悩みを共有できる人ができると、少しずつポジティブに向かっていけるはず。最終的には、心から幸せそうな4人の笑顔を見られることを願っています。

【いちばんすきな花】主人公全員が“闇”を抱える今作は、『silent』の圧倒的一軍感にハマれなかった人こそ観てほしい!_img0
 

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