非正規雇用の人や低賃金で悩んでいる人も叩かれる
フリーランス叩きや「売れないなら辞めちゃいなよ」言いたがりムーブに感じるのは、「他人が自分と同じ苦労をしてくれないと気が済まない」心理です。もちろん、これも「社会は厳しいんだぜ」っていう先輩風マウントとりたいっていうのもあるでしょうが。「売れないなら辞めちゃいなよ」って言ってくる人って、やたら自分の苦労話をしたがるんです。「自分はこんなに辛酸をなめてここまで来たんだ」って。で、その延長で、「お前がそんな簡単に成功してたまるか」みたいな感情になっていく。
これは、インボイス制度でのフリーランス叩きにも通じるところがあるなって思うんです。課税売上高が1000万円以下の事業者が免税事業者とされているのは、ちゃんと色々理由があってのことなんです。でも、「お前らだけ払わないのはおかしい」という声は根強くあります。ズルしているように“見える”人を許せないというか。足の引っ張り合いというか、他人を下げることで自分を上げたい、みたいな感情って、この社会のあちこちに転がっているものです。
改めて、フリーランスへの誤解って深刻だな、と思います。こんなに守られていない働き方はないと思うけれど、何もみんなが好き好んでその働き方をしているわけではありません。
非正規雇用の人や低賃金で悩んでいる人が声を上げると、必ず「文句を言うなら辞めてしまえ」という声が上がります。フリーランスも同様、インボイスが制度が嫌なら辞めてしまえ、と言われます。しかし、それぞれの立場で声を上げないと社会はよくならないはずです。
それに、フリーランスと会社員って対立関係じゃないと思うんです。同じ社会で生きている以上、お互い影響を受け合って生きています。インボイスによる影響は、フリーランスだけが受けるものではありません。フリーランスにとって生きづらい社会は、会社員にとっても生きづらい社会なのです。たびたび頻発するフリーランス叩きに違和感を覚えずにいられません。
写真:Shutterstock
文/ヒオカ
構成/金澤英恵
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