渡す側も受け取る側も笑顔になれるものを小さい面積に詰め込んでいく作業はとても勉強になりました。間違いなく本業に生きる経験となったでしょう


しかし私の心配をよそに、住田さんからは「うおー! 全部良いです! 3種類作っちゃおうかな……」と非常にハイテンションなお返事が即届きました(笑)、良かった……。次にどうしてほしいのかのリクエストも非常に明確でしたのでその後3回ほど改案を行い、完成したものがこちらです。

三度の飯より金儲けが好きな私は、スキルを活かしたボランティア「プロボノ」体験を経て「無報酬」でも意義を見出せるようになれた?_img0
 

なるべく多くイラストを使いたいという住田さんの意向を受け、イラストはオモテとウラとで2点採用。せっかく作りこんだ名刺ですから、裏面までもじっくり見てほしいという想いで「これはだれの手? うしろを見てね」と裏面へ誘導する遊びを設けました。

三度の飯より金儲けが好きな私は、スキルを活かしたボランティア「プロボノ」体験を経て「無報酬」でも意義を見出せるようになれた?_img1
 

住田さん、とても気に入ってくださり、紙質を変えて3種類印刷してくださったそうです。この名刺がきっかけとなり素敵なご縁が紡げるといいなと切に願います(余談ですが、実はその後住田さんが東京で開催されるイベントにご参加されるとのことで、短い時間でしたがお目にかかることが出来ました。なんと住田さん、亜美ちゃんがデザインしたロゴをTシャツにして着用されていました笑)。

 

亜美ちゃんに最初のお声がけをするとき、名刺なのでデザイン範囲が狭いけどいいですか? という打診をしました。狭い範囲に入れ込む情報は決まっているため、デザイナーとしてやり甲斐を感じてもらえるのかという懸念がありました。亜美ちゃんもそこは理解したうえで活動に賛同して加わってくれたわけですが、実際に制作していく中で名刺としての機能性を担保しつつ、渡す側も受け取る側も笑顔になれるものを小さい面積に詰め込んでいく作業はとても勉強になりました。これは亜美ちゃんにとっても私にとっても、間違いなく本業に生きる経験となったでしょう。
 
住田さんはどうだったんだろう? そもそもなんでプロボノを利用しようと思ったんだろう? プロジェクトを終えてからお尋ねしてみました。

「同じ想い・志を持つ仲間をひとりでも増やしていきたい、出来れば僕が死んだあとも持続していってほしい……そんな想いでNancyを運営しています。世の中、お金のためだけに働いている人ばかりでは勿論ありません。でもお金を介さなくても実現したい未来を一緒につくりたいというモチベーションを持っていらっしゃる方と出会いたくて利用させてもらっています」

というお答えが返ってきました。なるほどなー! 確かに向いている方角が同じ仲間に出会える手段と言えます。
 
はじめの顔合わせから納品まで約1カ月間、3人で色々なことをお話しながら和気あいあいと進めていきました。私たち3人の相性がたまたま良かったのだろうなと思います。プロボノって美味しいの? の答え……。どうなのでしょう。私もこのただ一度の恵まれた経験しかないので多くは語れません。一つ言えるのは支援する側も支援される側も対等であり、リスペクトの気持ちを持って接しあえるかが決め手だと思います。無理をしながらやることではないと思います。自分がやっていて気持ちがいい、楽しい、そういう出会いがあるのがベストですよね。