「報酬がある仕事と、無報酬のプロボノ」の違いは「食事ありのデートと、なしのデート」のようなもの?


プロボノを皆さんに勧めたいか? かなり自問しました。毎回良いチームが組め、互いに喜ばしい成果が出せるとは限りません。そして私然り、多くの方が仕事や家庭など様々なことで忙しくされていることと思います。またすぐにやってみよう! そういう気持ちには正直なれないでいます。
 
ズバッとオススメ出来ない理由、その根源にはやはりプロボノが無報酬であるということが挙げられます。参加することで自分が関心のある社会課題に寄り添うことが出来た、でも限られた自分の時間を趣味とはまた違う性質のこのボランティア活動にずっと当てていくことは今の私には難しい……。うーん、上手く言語化出来ない……。
 
そうだ! 頼りになる亜美ちゃんに相談してみよう(笑)! 亜美ちゃん、亜美ちゃん! 今回プロボノやってみてどうだった? 今後もやりたい?
 
「はいっ! ちょうど教育という分野に関心が向いていた時期でしたし、住田さんの活動もとても共感できるものでした。あとは餡蜜先輩にも興味津々だったので(笑)完成した作品もとても気に入っています。絵を描くことは私の本業でもあるので、お気に入りの作品が増えるということ自体が財産になります」
 
そうかそうか。亜美ちゃんもそう思ってくれているなら勇気を持ってお誘いして良かった! でもさ、亜美ちゃん。お金のことについてはどう思う?
 
「うーん、お金が発生しないからこそ良かったのかというとそんなことはないですよね。お金を貰っていても、貰っていなくても同じ姿勢で取り組んだと思います。余談ですけど私、学生時代にラクロスをやっていたんですよ。周りには人生を賭けて取り組んでいる子たちもいて……。その時に報酬が発生しないアマチュアスポーツと、報酬が発生するプロスポーツ、競技に取り組む姿勢は何ら変わりないなぁ、と思って。じゃあ報酬の有無で変わることってなんなんだろう? ってすごく考えました」
 
なんと興味深い…! やっていることは同じ、真剣度も同じだけど、方や報酬があり、方や報酬がないということですね。
 
「まず報酬がないと収入を得るために別の手段を確保しないといけないですよね。それと両立をしていかないといけないわけだから持続可能性が低くなると言えると思います。一方、報酬がある場合、スポンサードしてくれる人は限られている。その限られた人たちからお金を貰ってやっていかないといけないので、やりたくないタスクも求められる可能性があります」
 
なるほどー。確かに私が子どもの未来が明るいものになるための活動をお金を貰って取り組みたい! と思ったとしても、すぐに私にお金を払って業務を任せてくれる会社/団体が見つかるかと言うと、それは結構ハードルが高いことだろうなと想像出来ます。せっかく取り組んでみたい、関わってみたい対象が見つかっても、マネタイズしなくてはいけないという制約があると一気にことがスムーズにいかなくなりそうです。
 
ここでまた亜美ちゃんが良いことを言います。「食事ありのデートと、なしのデートみたいな感じじゃないですか? 食事なしで軽くお茶しよ? くらいのデートならハードルも下がるし、ちょっと会ってみるか~ってお互い気軽に行けますよね」。……ほんと、そうですね。

今回のプロジェクトおよび連載のキーパーソン・神田亜美さんのInstagram

 
長く続けようとか、どっぷり入り込もうとか、初めから気負いしなくていいのではないかなって思います。1回きりでもいいじゃないですか。日々暮らしていると、漠然とニュースを見聞きして不安に思ったり、もっとこうなればいいのに……と嘆いたりしていることが誰しもあると思います。そこにプロボノというかたちでいっちょ噛みしてみる。多くの方の「ちょっとやってみようかな……」で変わる未来があるんじゃないのかなって思うのです。
 
プロボノって美味しいの? の答え……。心と体を動かしたあとに食べるものはなんでも美味しいですよね。やる前の自分、やってからの自分、少しばかり奥行きが増した自分に出会えるのではないでしょうか?

以上、餡蜜桃子のプロボノ体験記はこれでおしまい! 次はどんな潜入取材が待っているのでしょう(笑)。またお目にかかれる日を楽しみにしております。

 

文・写真/餡蜜桃子
イラスト/神田亜美
構成/露木桃子
 


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