――健康面での効果も具体的に教えてください。

咲丘 毛細血管、骨、歯などの強化。抗酸化作用による免疫力の向上ですね。ストレス耐性、がんや動脈硬化、老化防止も期待できます。

――ビタミンCを飲む、塗る。ずばり、どちらが良いのでしょうか?

咲丘 飲んだ場合、人間が生きていくために重要な部位で優先的に利用されるため(血管や骨を作るコラーゲン生成に働くなど)皮膚までなかなか行き渡りません。直接塗ればその部位で吸収されるため、早いスピードで高い美容効果が見込めます。皮膚にとって必須であるにもかかわらず、皮膚中のビタミンCは加齢によって減少しますので、毎日ビタミンCを摂取して土台を作り、すぐに効かせたい場合は塗るというのがベストです。

――摂取するタイミングや回数、適正な量を教えてください。

咲丘 1日3回、朝昼晩に摂取するのが最も効果的です。摂取量の目安は1日100mg(厚労省資料「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より)なのですが、美容を考慮した1000mg または2000mg説もあります。摂取量以上に摂っても体に害はありません(お腹がゆるくなる可能性はあります)。
なぜ1日3回に分けて摂取するのがおすすめかというと、摂取後3時間程度で血中濃度はピークになること、また、水溶性のため血中の飽和濃度を超えた過剰分は体外に排出されやすいからです。また、継続的に飲むことで、皮膚内のビタミンC濃度は約2倍程度高まると言われています。

 


――摂取するビタミンCの形態は、サプリ、スキンケア、などさまざまでよくわかりません。どんなものが良いのでしょうか。

咲丘 形態よりも大切なのはビタミンCの状態と処方です。
ビタミンCは熱、空気、光によって壊れやすく、化粧品に配合しにくい物質。それだけに市販の製品選びには注意したいもの。
「ピュアビタミンC」は名前の通り、ビタミンCそのものなので即効性がありますが、壊れやすいのできちんと作用しないこともありますし、保存にも気を使う必要があります。また、化粧品の場合、浸透性が悪いため、効果を求めると高濃度配合せざるを得ないので、肌への刺激も強い場合があります。

一方で、化粧品には「ビタミンC誘導体」というビタミンCの構造に別の成分をくっつけたものがあるのですが、皮膚に浸透しやすく低濃度で効果を発揮するため、刺激が弱くピュアビタミンCと比較すると非常に扱いやすい成分となります。

「ビタミンC誘導体」は大きく分けて「水溶性ビタミンC」「脂溶性ビタミンC」「両親媒性(水にも油にも溶けるビタミンC)」の3分類あり、それぞれの分類の中に種類が異なる誘導体があります。
YouTubeなどで解説動画も多いのですが、実は経皮吸収の比較試験を実施した論文も少なく、安定性、経皮吸収性ともにバランスが優れているものを一概に言えない状況です。使ってみて自分の肌に合うか試すのが一番良いというのが正確なところですが、以下に個人的に効果を実感できると考えているものをお伝えさせてください。製品パッケージの「成分」の欄を確認してみてくださいね。

・ピュアビタミンCが安定配合されている製品(※高濃度安定配合は基本的に大手メーカーしかできない技術)
・水溶性の「VCエチル(3-O-エチルアスコルビン酸)」や両親媒性の「アミトース3LGA(3-ラウリルグリセチルアスコルビン酸)」が配合されている製品

なお、ビタミンEと一緒に配合されていると相乗効果があるため、その点をチェックして選ぶのも良いと思います。経口摂取する場合は医療機関に受診して、ビタミンCの美容内服薬「シナール」などを処方してもらうのも確実な摂取方法としてオススメです。

――化粧品では濃度はどれくらいが良いのでしょうか。

咲丘 ピュアビタミンCの場合は5%~30%のものが理想です。ちなみに濃度の記載がない商品は微量での配合とほぼ判断して良いと思います。%が上がると刺激も強くなりますので、塗布したときにピリピリしてしまうのであれば10%前後でも効果はでますのでご安心を。なお「医薬部外品」だと規定で3〜5%の濃度しか配合できないんです。大人気のオバジ25セラムがあえて「医薬部外品」としていないのはそのためですね。

――塗り方や取り扱い方の注意はありますか。

咲丘 スキンケアでビタミンCを塗る順番は基本的には洗顔後、化粧水の後で朝晩の2回です。朝に塗ることを心配される方もいらっしゃいますが、ビタミンCは紫外線から肌を守るのでむしろ朝塗るのがオススメ。
また、レチノール(ビタミンA)との併用は、可能ですが、肌への刺激が強い場合があるので、敏感な方は「朝ビタミンC、 夜レチノール」と時間差で使用するのもオススメです。非常に繊細な成分で、光や空気に弱いため不透明な遮光ボトルで販売されているものを選び、直射日光に当てず、常温の部屋に保管すること。開封後半年ほどで使い切るのがオススメです(塗る順番・回数および保管方法については商品の設計によって異なるため、メーカーの説明に従ってください)。


――「ビタミンC」といっても、状態や処方によって違うのですね! 成分表を見たり、自分の肌に合うかを試してみることが大事だと分かりました。次のページでは、おすすめの商品をご紹介します。