お仕事帰りに同僚と。大切な家族や友人と。
心からおつかれさまと伝えたい日のレストランを厳選してご紹介します。

有名中国料理店で修業を積み、独自の皿を展開する若き日本人シェフによる隠れ家的店。一方で、中国出身料理人による、本場四川の味を追求する注目店。味もスタイルも驚くほど多彩になってきた中国料理。気分次第で選んでGO!


四川省出身の店主が作る、真っ赤な料理にファン急増中
四川ダイニング 望蜀濾(赤坂)

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麻辣味牛肉麺¥950。辛いのはスープだけじゃない。牛肉も、自家製の辣油に漬け込んでから煮ていて、やわらかくも、ジワッと辛い!

たとえば、〈イカの唐辛子油かけ〉。唐辛子で作った自家製の醤をイカにたっぷりからめて炒め、皿に盛り……できあがりかと思いきや、乾燥、生、青と3種の唐辛子が中華鍋に!さらに泡パオ椒ジャオと呼ばれる唐辛子の発酵調味料を入れ、真っ赤にたぎった油をイカの上にジュッと。そんな辛みの多重奏にむせつつも、今夜も足が向いてしまう人急増中なのがここ。店主は、四川省濾州(ろしゅう)市出身で、四川料理ひと筋20年の余奎さん。厨房の片隅には、唐辛子を四川山椒はじめ多彩な香辛料と一緒に1週間ほど漬け込んで作る件(くだん)の泡椒。そして、中華鍋の横には麻辣醤油、香辣醤(シャンラー)ジャンなど唐辛子の自家製醤がズラリと6種! これらを巧みに重ねて、本場の味を再現している。

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イカの唐辛子油かけ¥1100。四川料理好き、辛い物好きには堪らないひと皿。イカの下ごしらえもきちんとされていて、食感もやわらか。
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自家製手作り焼き餃子 6個入り¥580。豚肉、野菜、海老など10種類の具で作るあんの、多彩な旨みが交錯する店主オリジナルの餃子。
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料理長の余奎さんは来日5年目。日本の四川料理店でも腕を揮った後、昨年3月に自店を構えた。店内には、余奎さんが故郷・濾州で自ら撮った写真がそこここにディスプレイされている。日本語が達者なホールの小琴さんも濾州出身。

【望蜀濾】
東京都港区赤坂4-2-5 ヤブタビル2F  tel.03-3588-6693  営業時間11:00~14:30LO(平日のみ)、17:00~23:30LO(土、日22:30LO)無休 テーブル42席  四川本格担々麺(スープつき)¥780、牛肉と野菜の麻辣煮込み¥1200、コースは¥2500~で、火鍋のコースもありランチセット¥780(すべて税別)



フレンチや懐石料理のように、目で楽しむ中国料理を隠れ家で
胡桃茶家(中目黒)

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本日の鮮魚のお料理。これは、干し海老やエリンギ、自家製の辣油などで作った辛みのあるソースを真鯛に添え、鮑茸、エリンギと。(※材料は季節によって異なります)

中目黒のはずれ。隠れ家のような階段を降りていくと、思わぬ中華が待っていた。燻製にしたり、ジュレをのせたり……ひとつひとつ手をかけた9種が、フレンチのように並んだ前菜。花のように盛られたサラダと海鮮炒めのワンプレート。運ばれてくる料理は、どれも中華であることを忘れてしまうようなプレゼンテーションだ。味つけはコースの中で、きちんと強弱が施されている! カウンターの向こう、ひとり忙しく料理を作るのは、ホテルや有名レストラン「トゥーランドット」で経験を積んだ河野利之さん。「上海料理ベースに、目で楽しめる、野菜をふんだんに使った中国料理を」と、この店を開いた。でも、点心に使う皮まで手作りって頑張りすぎです。

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胡桃茶家特製前菜。ピータンのテリーヌ、海老の酢ゼリーのせ、低温調理をして燻製にした自家製鴨のハムなど15種がひと皿に。
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カウンター前に並ぶ蒸籠。自家製フカヒレ餃子など、点心もすべて一から作っている。
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元はフレンチレストラン。その内装をうまく活かし、中国茶器などをディスプレイして、モダンな中国料理のダイニングに。

【胡桃茶家】
東京都目黒区東山1-21-26Q.G.HIGASHIYAMA B1  tel.03-5708-5692  営業時間12:00~14:00LO、18:00~22:00LO  休日 : 月昼、日   カウンター8席、テーブル16席 ランチコース¥2500~、ディナーコース¥5000~、中国茶も、工芸茶まで豊富に揃う(すべて税別)

このページは、女性誌「FRaU」(2013年)に掲載された
「おつかれレストラン」を加筆、修正したものです。
撮影/小出和弘 取材・文/齋藤優子 構成/藤本容子