時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。

「命に直結しない贅沢は我慢しろ」と言われがちなものこそ被災者に必要である理由【小島慶子】_img0

能登半島地震と羽田の事故で、つらい年明けとなりました。自分はニュースを見るだけで何もできないと、無力感や罪悪感を覚えている人も多いと思います。私もそうです。年末からオーストラリアの家族と過ごしていたのですが、スマホの緊急地震速報が鳴り続け、報道やSNSから目が離せないお正月に。北陸の知人の安否が気になっても、様子を見るしかありませんでした。

 


無力感を覚えたら、義援金や寄付という形で被災地を支援することができます。お金は必ず人助けになります。「ちょっとのお金を出したぐらいでいい人気分になっている自分は罪深い」と感じてしまう人もいるでしょう。でも、そんなことはありません。実際に現地で支援活動をしている人や助けを必要としている人にとって、資金は何よりも必要なものです。大金を寄付できなくても、それが他の人の寄付と一緒になると何十億というお金になって、人の命や暮らしを支えることができます。自治体や赤十字、Yahoo!基金への募金、ふるさと納税でも誰かの力になれます。決して無力ではないのです。

「命に直結しない贅沢は我慢しろ」と言われがちなものこそ被災者に必要である理由【小島慶子】_img1
写真:Shutterstock

日本に戻り、お正月が明けて世の中が動き出しました。私は、年越しシーズンには家族と会えて嬉しい一方、ゆく年くる年を思い過ぎてなぜかメンタルがひどく落ち込んでしまう体質。またいつものようにバタバタと仕事に追われる生活が戻ってきて、やっと深い水底から上がれたような気持ちになりました。昨年の12月にはやらなくちゃいけないことが多過ぎて「もう無理! こんな生活無理!」と毎日怒り泣きだったのに、また日常が戻ってきてホッとしているのです。勝手なものですね。