「一流」の販売員は他店の商品をどう勧める?

―― これまでの投稿で反響があったものを教えていただきたいです。

ゆりさん:一番再生されて「いいね」もついたのが「他店の商品を勧めるアパレル販売員」です。


この動画は、「このカーディガンに合うおすすめのインナーはありますか」と聞かれたけれど、自店に合うようなインナーがない時というシチュエーションで、三流さんは無理やり全然合わないものをおすすめしちゃう。 二流さんは「ユニクロとかGUにもいいのがありますよ」と伝えて、「他店のものでもおすすめできる私ってできる販売員!」って思う。でも、一流さんは「ユニクロとかGUにもいいのがあるんですけれど、今お時間はありますか?」って聞いて、タブレットで検索しながら「こういうのがおすすめで、こういう風に選ぶといいですよ」と、他店のことだけど細かく教えてあげる、という内容です。

これは、お客様が「合わせられるインナーがユニクロで見つけられなさそうだから、じゃあこれも買わない」って思ってしまったらもったいないなというところから着想を得ました。

よくスタッフにも伝えるのは「お客様目線」って、自分が詳しくないカテゴリーの商品で考えたらすごくわかりやすいということです。たとえば私はパソコン関係のことをあまり知らないのですが、 詳しい人に聞いた時に「それ、Windowsじゃダメだけど、Macならできるよ」とだけ言われても、「Macでどんな操作をしたらいいのかな」と思ってしまってよくわからないんですよ。同じように、お客様って販売員が思ってる以上に知らないことが多いので、 自分が詳しいから相手も当たり前にわかるとは思わないで詳しく教えてあげた方が、もちろんお客様だって嬉しいし「またこの人に接客してもらいたい」って思うようになるんです。

あと、良くも悪くも反響があったものは「セール直前の神対応」。


三流さんは「これってセールになりますか?」と聞かれると「どうせ今買わないなら接客する意味なし」ってあしらってしまう。二流さんはもうすぐセールだとわかっていても無理やりゴリ押しする。 
で、一流さんは、在庫をチェックして「これはセールまで残りそうだけど、これは少ないから今買ってもいいかもしれませんね」と伝える。セール前の時期に合わせて投稿したっていうのもあり、お客様側にもすごく刺さったみたいで、再生数が伸びただけでなくコメントもすごくつきました。どうしてもネガティブなコメントもついてしまうのですが、それはもうしょうがないと思っています。

あと、 現役の販売員の間で反響があったのは「販売員あるある」や「アウトレットとハイブランドのセール初日の違い」ですね。これは、休憩中の癒しネタとしてくすっとしてもらえたらいいなっていう観点で投稿しています。


―― 今度はどんな内容を発信していく予定ですか。

ゆりさん:今後は販売員としてのマインドも発信していきたいなと思っています。

販売員って、芸能人でもない一般人なのに会いに来てもらえるすごく素敵なお仕事だと私は思っているんです。
ただ、自分も販売員時代に経験しましたが、人材不足でギリギリの人数で繁忙期を乗り越えなきゃいけなかったり、それでも売り上げを求められてしまったり、ちょっと扱いづらい新人さんの指導に悩むこともあったり、しんどい思いをすることも多い仕事です。

そこを支えられるような、「これを見たから明日も頑張ろう」って思えるような、心のよりどころになる発信をしていきたいなって思います。

あとは、「一流、二流、三流」の動画はおもしろいと言っていただいているんですけれど、SNSのコンテンツで特にユーザー層が若いとすぐに飽きられてしまうとも思うので、ベースは変えずに、ちょっと違ったパターンを模索中です。

 


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販売員の方の接客ひとつで、「これを買おう!」と決めた経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。同じ商品を扱っていてもなんだか買いやすい、見やすいと思える店舗にはきっと販売員さんの陰なる努力と工夫が隠れているのです。AIの進出で多くの仕事が将来的には必要が無くなると言われていますが、ゆりさんの「カリスマ」じゃなくてもできる接客術と、「お客様目線」のマインドというのは、AIには真似できない生身の人間だからこその匠の技だと感じたインタビューでした。
 

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次回の「SNSで見つけた『バズり人』さん」もお楽しみに!
 


写真/Shutterstock
構成・文/大槻由実子
編集/坂口彩

 

「カリスマ」じゃなくても、売れる販売員になれると伝えたい!「ゆり|カリスマじゃない販売員の【必勝】接客術」さん_img0
 

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