時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。
ミス日本で2024年グランプリに選ばれた女性がその座に相応しくないと批判され、週刊誌に既婚者との交際歴を報じられて、受賞を辞退した一件。彼女は今どれほど動揺して恐怖を感じていることかと気がかりです。注目されたのは、彼女の両親がともに日本出身ではなかったことです。過去には他のミスコンでも両親が日本人とアメリカ人の女性や、やはり両親が日本人とインド人の女性が選ばれ、その度にネットで「日本人の代表とは言えない」などという心ない声が上がりました。
報道を見る限りでは、グランプリを辞退した女性はウクライナやポーランド、ロシアなどにルーツを持つ両親とともに5歳で日本に来たとあります。それ以降は日本で暮らし、2022年に日本国籍を取得しているとのこと。受賞スピーチの動画では、人種の壁で日本人として受け入れてもらえなかった経験を涙ながらに語っています。ミス日本コンテストは、内面と行動と外面の3つの日本らしい美を体現する若い女性を選ぶのだそうです。その基準に照らしてグランプリに選ばれたことで、彼女は日本人として認められたと実感したのかもしれません。彼女を選ぶことで、ミス日本は人種的多様性に乏しい日本社会に一石を投じようとしたと見ることもできるでしょう。けど、そもそもミスコンてどうなんだという話は、後ほど述べますね。
今回話題になった要素の一つが、グランプリを受賞した女性が白人だったことです。見た目にアジア系の要素はありません。ではそのような人は日本人を代表する資格はないのか。これまでにもメディアで注目された人物について、人種や外見、日本語を母語とするか否かなどで線引きし、ネットで差別的なコメントを書き込む人々がいました。
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