時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。

「私もやりたい、できるはず」が変えた女人禁制。担い手不足の日本も継承のために形を変えるとき【小島慶子】_img0

1200年以上の歴史のあるはだか祭りに、女性が初めて参加したそうです。愛知県稲沢市の神社で毎年2月に行われる厄除けの神事は、長年の慣習で男性がふんどし姿で行うものとされていましたが、新型コロナウイルスが流行した際に感染防止のために着衣で実施。だったら女性が着衣で参加してもいいのでは? と地元の女性団体が参加を希望し、このほど実現したのだとか。40人余りの紫色のはっぴ姿の女性たちは、厄除けの笹を担いで「わっしょい、わっしょい」と掛け声を響かせ、神社に奉納。幼い頃から笹を担ぐ父親の姿を見て、自分もやってみたいと思っていたと語る女性もいました。

各地の伝統的な祭りはどこも深刻な担い手不足。この神社に限らず、これまで女性が参加できなかった祭りも、継承のために形を変えつつあるようです。

そんな話をしたら、聞いていた人が「なんでもジェンダー平等ってどうかと思う」と呟きました。伝統は大事にしたいよね、と。

女性たちは「この祭りはジェンダー平等じゃないから女も参加させるべきだ」と言ったのではありません。大好きなお祭りに自分たちも参加したいと言ったのです。女性たちが気持ちを表明して行動したことが結果としてジェンダー平等を実現したというのが大事なポイントです。そもそもこの祭りは何のためにあるのかという本質に立ちかえる機会を作ったということもできるでしょう。

 


これまでもずっと、女性たちは裏方として祭りを支えてきたそうです。紫色の法被姿の女性は「今までは夫が参加しているのを見ているだけだったから、参加できてとても幸せ」と語りました。自分も祭りを継承する当事者であるという意識があったからこそ、参加を願ったことが窺える発言です。

どうかと思うと呟いた人は、もしかしたら男嫌いの女たちが理屈を捏ねて伝統を壊したと思ったのかもしれません。でもこれは、歴史ある祭りを大切にし、ぜひ自分もそこに参加したいと思った人たちが、祭りの形を更新して持続可能性を高めたということではないでしょうか。神事を大切に思う気持ちが同じなら、神様にとって参加者の性別は関係ないはずだという女性たちの信念のなせるわざです。当然ながら、女性が参加することに反対する声もたくさんあったそうです。祭りの本質を男の神聖な団結の場であると考える人たちと、人々が神様に尊敬と信頼の気持ちを伝える場であると考える人たちとのギャップがあったということかもしれません。