今はSNSでだれでも情報を発信できる時代。あなたが知りたかった情報は、誰かがもうネットの海で発信しているかも。本特集は、ミモレ編集部から「新たな視点を得ることができる」「癒しになる」「知らない世界のリアルがわかる」情報をSNSで発信し、密かにバズっている人=「バズり人(びと)」さんのSNSアカウントをご紹介します。
今回は、YouTubeやInstagramで介護士のリアルな日々をハイテンションに楽しく伝えてくれる現役の介護士YouTuber「はたつん介護士」さんにインタビューしました。はたつんさんのYouTubeチャンネルでは介護士が日々感じる「あるある替え歌」や「介護士VS」シリーズが人気です。
介護士のことを信頼してくれると「チーム」に加えてもらえたようで嬉しい
――介護に関する動画をYouTubeなどで発信しはじめたきっかけについて教えていただきたいです。
はたつんさん:私は、チキンスープというバンドで音楽活動をしているのですが、YouTubeは私たちの音楽活動を広めるために始めたんです。音楽配信だけでなく、メイク動画などもアップしていたのですが、ある時、自分が音楽以外の仕事でやっている介護についてのあるあるをアップしてみたら、再生数が100万回くらいになってバズったんです。
皆さんからの反響も大きくて、コメント欄を見ると共感や応援してくださる方がたくさんいて、そこからYouTubeでも介護系の発信をするようになりました。
――介護士目線で嬉しい人、逆にちょっとしんどい人とはどういうタイプの方なのか、介護サービスのご利用者さまご本人と、そのご家族、それぞれにわけて教えていただきたいです。
はたつんさん:ご利用者さまご本人の場合だと、笑顔が多い人は嬉しいですね。たくさんお話をしてくださる方は、介護職員から好かれている印象があります。逆に正直しんどいな、って思う方は、全てを拒否する方です。
たとえば、私たち介護士がよかれと思ってお食事を提供しても「いらない」と拒否したり、なるべく健康で長生きしてほしいから、「水分を取ってほしいです」と一生懸命伝えても「飲みたくない」とひたすら拒否される方に対してはちょっとしんどいな、と感じることもあります。でも、そういう方の好きなものを見つけることができたり、笑顔になってもらえたりするとすごく嬉しいんです。それが、介護士のやりがいなのかな、と思っています。
ご家族の場合だと、私たちと一緒にご利用者さまのことを考えて、介護士のことを信頼してくださる方は、私たち介護士も、ご利用者さまとそのご家族という「介護のチーム」に加えさせていただけた気がして、すごく嬉しいです。
逆にちょっとしんどいなと思う方は、ご利用者さまに対してあきらめているご家族の方ですね。ご利用者さんも本当はできることがあるのに「うちのお母さんはもう何もできないから」「もうわからないから」ってご利用者さまご本人の前で言われると、ちょっと悲しくなります。
デイサービスでは、ご利用者さまが洗濯物をたたんでくださったり、料理を配膳してくださったり、文字を書いたりされていて、ご自身ができることってご家族の方が思うよりたくさんあるんです。
なので、そういう考えのご家族の方が、少しでも前向きになれるように介護士としてどうしたらいいのか、ということを日々考えています。
――確かに、一緒に暮らしているご家族の方だとあきらめてしまっている方って結構いるのかもしれません。
はたつんさん:一緒に暮らしていると、ご利用者さまのできなくなっていることに目が行きがちなんです。たとえば、お手洗い失敗しちゃったとか、さっき薬飲んだのに「いつ飲んだっけ」って言われたりするのが何度もあると、できない部分にフォーカスしてしまう。
その気持ちもすごくわかるのですが、ご本人ができることにも注目してほしいと思います。
「お世話」ではなく「人として関わっている」
――「笑顔が多い方」というのは、介護の現場だけでなく、どんなシーンでも好かれるタイプの人だよねって思いました。介護士さんも人ですものね。
はたつんさん:「介護」って聞くと世間的には「おじいちゃん、おばあちゃんのお世話をする」と思われがちですが、私はそうではなくて「自分の人間関係が増えていく」というイメージなんですよ。「おばあちゃん」ではなく「89歳女性の田中さん」と関わっているというイメージです。
個人的には「お世話」という言葉があまり好きじゃないんです。ご利用者さまへは「お世話」ではなく、「一人の人として関わっている」んです。
だからこそ、ご本人のできることを大事にしていますし、ご本人の意思ややりたいことを尊重したいなと思うんです。それが笑顔につながっていったらいいなって思いますし、笑顔でいる人の方が、一緒にレクリエーションをやる時にも積極的で関わりやすいので嬉しいと感じます。
ご利用者さまのできないところをサポートして、できるところを一緒に伸ばしていく、という意識でいる介護士の人は多いんじゃないかなと思います。
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