日本人女性は心疾患になる比率は男性より低いが、死亡率が高い

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女性の動脈硬化疾患は男性に比べてはるかに少ないですが、それは女性ホルモンに守られているからです。女性ホルモンの血管保護作用はとても強力ですが、更年期以降に女性ホルモンが減少することで血管は脆弱になってしまいます。

また、女性は我慢強く、家族や仕事を優先し、自分のことを後回しにしがち。診断や治療の機会も少ないため、重症化しやすい傾向があります。心疾患になる比率は男性より低いけれど、罹患した際の死亡率が高いのが問題視され、日本でも女性の心臓のヘルスケアに取り組んでいく必要があります。

大切なのは、心血管疾患の発症の機序や進展、予後に与える影響を、医学的、社会的な側面から性差の違いがあることを知っておくこと。セミナーに登壇された高尾美穂先生の「転ばぬ先の杖ならぬ、転ばぬ先の知恵」という言葉が刺さりました。「女性が健康で元気で機嫌がよくて、ニコニコしていれば、パートナーも子どもも周囲もみんな幸せになれます」という登壇者のみなさんの共通のメッセージにも深く頷きました。

心臓病を防ぐには 日頃から自分のモニタリングの精度をあげるのも大人の務めだと感じます。定期健診を受けるのはもちろん、「無理してないかな?」「我慢してないかな」など自分の心身に耳を傾けること。できれば、体重、血圧、デジタルデバイスを活用して異変を見逃さないようにしましょう。
私の場合、異変をスルーしたために周りの人たちに心配と迷惑をかけてしまった。それが今でも悔やまれます。心臓病突然死の一番の予防対策は「異変があればなるべく早く病院へ!」 

女性は不定愁訴が多いので、心臓病の診断に至るまでに時間を要することもあり、結果、男性より予後が悪いと言われています。特に女性は、出産、産後、閉経後と、各ライフステージにおいてホルモンバランスも変化していくため、それぞれの時期での心臓の健康問題を考えることも大切です。心臓病が怖いのはがんと違い、すぐに死にむすびつくリスクがあること。命を守るのは自分のためだけでなく、周りの家族、友人、仕事仲間、ペットのためでもあります。

Go Red for Womenの活動は、女性たちに定期的に血管の病気や心臓病についての注意を思い出させてくれる意義のある活動だと感じました。赤い色は視覚的な刺激を脳に与え、ドーパミンが活性化するので着ている自分も周りの人も元気になれます。明るい色を身にまとって人生100年時代をハツラツに過ごしましょう。 

 


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取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
 

 
 
 
 
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