まさかに備える知識を、身に付けておこう!


ミモレの記事掲載や『山手線で心肺停止!』の出版後に、驚くほど多くの反響をいただきました。
「心臓突然死は怖いと思っていたけれど、なんだか他人事」「今は元気だし、自分だけは大丈夫」と根拠のない自信を持っている私のような方が本当にたくさんいらっしゃるとわかりました。

私が蘇って感じているのは、「自分の命は自分だけのものではない。大切な人達や、一緒に暮らすにゃんずのものである。私のような人間でも、この世から突然消え去ることは、周囲に少なからず影響を与えてしまう」ということ。だから「まさか」の可能性は誰にでもあって、それに備えておけることを伝えたいのです。

備えのひとつとして、ぜひやっていただきたいのは、AEDや心臓マッサージの救命救急の知識を得ておくこと。私は山手線の車内で心肺停止になり倒れた時に、救命救急の訓練を受けている駅員さんの適確な対応のお陰で、こうして存在しています。

先日ABEMA TVに出演させていただいたのですが、こちらも参考になります!EXITのお二人が「AEDの使い方と心臓マッサージの訓練」を受けています。


動画でイメージがつかめると思いますが、実際に体験してみないと、心臓マッサージに実際のどのくらいの力がいるかなどがわかりません。救命講習はお近くの消防署などで開催されていますので、調べて参加してみてください。私も、一度の講習だけでは「いざという時」に動ける自信がないので、定期的に受講していく予定です。また、自宅の近隣やよく行く場所周辺のAEDの設置場所を確認するようにしています。

 


9月29日は世界ハートデー


日本では7分に1人が「心臓突然死」で亡くなっています。そして、心臓血管病(心臓病や脳卒中)は、全世界で最も重大な死因となっているのです。世界では心血管疾患で毎年1700万人超の命が失われていて、2030年にはその数は2300万人に 達すると予測されています。がんであれば突然に亡くなることはありませんが、心臓疾患は突然死につながる恐れがあると私は身を持って体験しました。
世界心臓連合(World Heart Federation)は、2000年より「世界ハートの日」を9月最終日曜日に定め、地球規模で心臓血管病予防のメッセージを伝える様々なイベントが解されています。その後、2011年から9月29日を「世界ハートの日」と定めています。

365日、24時間、休まず動き続けているたったひとつしかない心臓を守るために、世界ハートの日をきっかけに、生活習慣を見直してみませんか? 

具体的にはまず、ベーシックな健康管理が大切です。栄養バランスのとれた食事、適度な運動ができているか。お酒を飲み過ぎてないか。ストレスを我慢しすぎていないかなど、心臓に負荷をかける危険因子はないかを点検して、コントロールすること。こうした危険因子をコントロールすることで、心臓病や脳卒中による早期死亡のリスクを大幅に下げることができます。そしてネクタイの範囲に痛みや違和感があると危険なので要確認! もしも気になることがあれば、病院に足を運んでいただきたいと思います。早めの行動で「まさか」を防ぎ、命を守ることにつながります。


【漫画】「健診受けてるから大丈夫」が命取りに...突然の心肺停止から搬送されてどうなった
▼横にスワイプしてください▼

山手線で心肺停止!その後、父から届いたメール。改めて考えた「生きていくことの意味」とは?_img2

『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』
熊本美加・著 上野りゅうじん・漫画 鈴木健之・監修 1320円 講談社

健診で分からない「隠れ心臓病」に要注意。日本では7分に1人が心臓突然死で亡くなっているという現実がある。

元気でバリバリ働いていたアラフィフの医療ライターがある朝突然、山手線で心肺停止に。打ち合わせに向かう車内で倒れ、浜松町駅で駅員によるAED、心臓マッサージを受け、搬送された病院で人工心臓につながれた。

奇跡的に一命を取りとめたが、高次脳機能障害により注意力、記憶力、感情のコントロールに問題が生じ、リハビリ病院へ。生死を分けたのは何だったのか。そのとき、仕事は? 家族は? そして飼い猫は?

Twitterで何度もバズった「ウェブマガジンミモレ」のルポをベースに、予兆リストや胸の痛みの種類、生死を分ける心臓マッサージなど、著者が読者の皆さんに伝えたいことを新たに執筆、再構成した。実用書でありながら、『女はいつまでおんなですか? 莉子の結論』『ママのうつ病をなめてたら、死にそうになりました』で知られる上野りゅうじんがマンガを担当。



熊本 美加
東京生まれ・札幌育ち。医療ライター、性の健康カウンセラー。大学卒業後、広告制作会社などを経てフリーライターに。更年期ウイメンズ&メンズヘルス、性感染症予防・啓発、性の健康についての記事を執筆。2019年に電車内で心肺停止で倒れ救急搬送され蘇る体験以後、救命救急、高次脳機能障害、リハビリについても情報発信中。



上野りゅうじん
2017年「うちのへそ曲がり!!」でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵などを担当。『オカン DAYS』(講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理著、講談社)、『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』(KADOKAWA)がある。


漫画/上野りゅうじん
文/熊本美加

 

山手線で心肺停止!その後、父から届いたメール。改めて考えた「生きていくことの意味」とは?_img3
 
山手線で心肺停止!その後、父から届いたメール。改めて考えた「生きていくことの意味」とは?_img4
 

第1回「山手線で心肺停止!50代医療ライターが見逃した2週間前の予兆「毎日同じ時間に、同じ場所が」」>>

第2回「山手線で心肺停止!救急隊到着までの20分、私の命を繋いだもの「下がるのは“蘇生率”だけじゃなかった」」>>

第3回「「ワシは面倒見れん」「お姑さんの介護が...」昏睡状態の50代女性の横で始まった家族会議が超シビアだった話」>>

第4回「看護師に掴みかかり「ここから出してよ!」心停止で昏睡状態に陥った私が、目覚めたら凶暴化していたわけ」>>

第5回「簡単な「文字の並び替え」が解けない...病気や事故が引き起こす「高次脳機能障害」とは」>>

第6回「突然の心肺停止から脳障害に...“毎朝の予兆”を見逃した私にあった「油断」と「思い込み」」>>

第7回「「健診受けてるから大丈夫」が命取りに...心肺停止から生還した医療ライターが語る「心疾患はここが怖い!」」>>

第8回「更年期だと思っていたら「隠れ心臓病」。50代女性が見逃した危険な胸の痛みとは」>>

第9回「山手線で心肺停止してから、高次脳機能障害に。職場復帰までにやったリハビリのすべて」>>

第10回「心肺停止から目覚めたら凶暴化...「せん妄」とは違う「通過症候群」とは」>>

 
  • 1
  • 2