自分はもともと優しい人間じゃない、優しさは“もらったもの”

他にも、『My Life』には印象的な箇所があります。pecoさんが周囲から「優しい」「寛大」と言われることについて触れたところです。


「なぜpecoちゃんはそんなに寛大でいられるの?」「pecoちゃんは優しすぎるよ」と言っていただくことがありました。でもそれは違っていて、わたしはそもそも人に対して、寛大でも優しくもありません。(P31)

自分は寛大とも優しいとも思わないけれど、もし周りの人にそんなふうに見てもらっているとしたら、わたしをそんな人間にしてくれたryuchellのおかげなのです。(p33)

 


私の目から見ても、pecoさんって人生3周目ですか? ってくらいしっかりしていて、いつも文章が冷静で、成熟していて、寛大な人に見えます。pecoさんは、息子さんの優しさに触れると、そこにryuchellさんを見る、といいます。寛大さも優しさも、ryuchellさんがくれたもの、ということなんでしょう。pecoさんの話に出てくる優しさの塊のようなryuchellさんも素敵だし、ryuchellさんが優しさをくれたと言うpecoさんも本当に素敵。ふたりのエピソードはピュアで、人間味があって、愛が溢れていて。もう、胸が苦しくなるくらいの愛なんです。こんなにも相手を思いやれる素敵な関係が、この世にどれくらいあるだろう、と思うくらい。

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写真:Shutterstock

つくづく、家族の間のことは、他人にはわからない、と思います。どうしたって自分の中の家族像という尺度で他人の家族をはかってしまう。世間はふたりのことを好き勝手言っていたけれど、多分そこに真実なんかなくて。少なくとも、ふたりにしか見えない世界があって、pecoさんの文章の一端から伝わるものが、私たちが知り得る全てなのかな、と思うのです。

 
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『My Life』
peco 著 祥伝社 

カリスマ読者モデルとして絶大な人気を博したpeco(ぺこ)が、ryuchellとの関係、家族のこと、幼少期、子育てについて綴った初のエッセイ。

認め合い受け入れる、そんな世界になればもちろんとても平和だけど、
冷めてると思われるかもしれないけど、正直わたしは
そんな時代がくることはないんじゃないかなと思っています。
そんな時代がくることをめざすことももちろん素敵だけれど、
わたしはもし自分の思いを否定されたときにも
「あなたはそうなのね」とただそれだけを思い、
自分の芯さえしっかり持てる強さを培うことの方が、
そのゴールに近づくんじゃないのかなと考えるこの頃です。(「おわりに」より)

peco
1995年6月30日、大阪府出身。
原宿系ファッションのカリスマ読者モデルとして10代を中心に絶大な人気を集め、
パートナーのryuchellとバラエティ番組やTVCMに多数出演。
一児の母となった現在は育児や生活の様子を投稿したSNSが人気。
2023年に自身がデザイナー・プロデューサーを務める「Tostalgic Clothing(トスタルジック クロージング)」を開始。



文・構成/ヒオカ
 

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