「キョンキョンは居酒屋なんて行かないよね」とお客さん扱いされても「全然大丈夫です」と戦い、前に進めたことがいっぱいあります【小泉今日子】_img0
 

歌手であり俳優であり、最近ではプロデューサーとしても活躍する小泉今日子さん。小泉さんが2021年からスタートしたSpotifyオリジナルポッドキャスト『ホントのコイズミさん』は、本や本に関わる人たちと語らいながら、新たな扉を開くヒントになる言葉を探していく番組です。こちらを書籍化したシリーズ3作目『ホントのコイズミさん NARRATIVE』(303 BOOKS)が発売になりました。脚本家の宮藤官九郎さん、人気ポッドキャスト番組『奇奇怪怪』のTaiTanさん・玉置周啓さん、書店「蟹ブックス」店主の花田菜々子さん、哲学者の永井玲衣さんらとの対談が活字と写真でよみがえります。インタビュー後編では小泉さんがこれからやりたいこと・やろうと思っていること、そして「アイドル扱い」されるのが悔しくてずっと戦ってきたこと、そこから前進して得たものについて語ってくれました。

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『ホントのコイズミさん NARRATIVE』 小泉今日子/編著 ¥1650


インタビュー前編
小泉今日子が教えてくれた「今、リアルに読んでいる本」「読書が楽しくなるコツ」>>

 


60歳までは歌を歌って、そこから先は白紙、解散! その時自分がどう感じているのか、何をやりたいのか聞いてみる。「お前、どう思うんだい?」って


——小泉さんが紡ぐ小泉さん自身の物語「ナラティブ」についてお聞きしたいのですが、2023年10月に刊行された『別冊太陽 小泉今日子 そして、今日のわたし』(平凡社)を拝見して「もう過去には何の未練もない」「すべて置いていこう」「前だけを見て生きる」覚悟みたいなものを感じました。人生を物語に例えた場合、今はどんな場所にいますか。

小泉今日子さん(以下小泉):『別冊太陽』で特集してくださるという話をいただいた時、私はまだ生きてるし、高尚な趣味があるわけでもないし、何かを築き上げたわけでもない。いや、特集していただいても何もないです、と言いました。私はいつでも差し出せるものが“今”しかないんです。名前が“今日子”だし、“今”しかない。ずっと取っておきたいものはないし、ちょっと先に欲しいものもないんですよね。

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だから、今死ぬと思って生前葬みたいな感じにしようと思いました。ちょうど母の看護とも重なった時期で、その間に亡くなってしまったんですけど、母の部屋を片付けたら写真がいっぱいあったんです。母はなんでも取っておきたい人だったから、それを成仏させてあげたい気持ちもあって、このまま使ってもらおう、と思って。『別冊太陽』で“今まで”と“今”は全部出したので、これからはすっきり生きよう、みたいな感じですね。

——そんな小泉さんがやりたいこと、やろうと思っていることはありますか。

小泉:私を応援してくれるファンの人が友達や仲間だと思っているので、60歳までは歌を歌って、みんなで励まし合いながら頑張って生きようと思います。そこから先は白紙、解散!というか。その時自分がどう感じているのか、何をやりたいのか聞いてみる。「お前、どう思うんだい?」って。もっともっとみんなと遊びたいのか、今までできなかった文章を書くことをこもってするのか、いや、もう野菜とか作りたいと思うかもしれない(笑)。決めてしまうとそれに向かって縛られちゃうから、60までだけやることは決めて、あとはサプライズですね。60になった時、自分はどう思うんだろう。それが一番の楽しみです。

 
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