足りない資金は、身内からもらうのではなく借りるのがベスト!?

「厄介で心躍る」。80代両親の「家じまい」を手伝った60代娘が、さまざまな困難を通して得たものとは?_img0
 

まずは多くの人が気になるであろうお金の問題から。名義人が先に亡くなって相続税が発生するのを避けるため、マンションは父親より長く生きる可能性の高い母親の名義にし、母親と井形さんとで共同購入することになりますが、そこから問題が次々と発生していきました。
 

 


「母の持ち金を確認すると突然ハシゴを外された。まったく足らないのだ。わずかな現金も定額預金にしているから下ろせないという。通帳の預金をかき集めてもマンション価格の半分にも満たない。私が一部出すくらいでは買えないことが判明した。実家売却のお金が入ってくるとしても、ずっと先だ。あてにはできない」

足りない分を父親に出してもらうことになりますが、単純に渡す形にすると贈与税がかかってしまいます。そこで借金の形を取ることになりますが、井形さんはそこにも落とし穴がないかと、細かく確認しながら事を進めるのでした。

「たとえば、働いていない母は、うん千万もの大金をどうやって父に返済するのか。金利は付けるべきか、それは何パーセントが妥当なのか。また、父が死んだらこの借金はどうなるのか。母はマンションに住み続けられるのかなど、考え始めたらあとからあとから疑問が湧いてくる」