「頭がおかしくなったほうが、楽かもしれない」
まるで事故のような出来事に遭ってしまっても、恵那さんは美容クリニックの医院長。精神は混乱状態、それに連動して頭痛や吐き気がこみ上げ体調も辛かったそうですが、なんとか出勤。
恵那さんの技術を信頼してやってくる患者さんへの施術にミスは絶対に許されないため、その日からしばらく、なんとか正気を保ちやり切りました。ですが、気が緩むと勝手に涙がこぼれたり、突然過呼吸に襲われたこともあったそう。
「Twitterの件が発覚した当日は、一人ではいられず、親友に頼んで一晩中一緒にいてもらいました。普段はかなりポジティブな性格なので、嫌なことはすぐ忘れるし、辛いことがあっても『これは試練だ』と前向きに乗り越えるタイプだったんですが……。
でもそれは単に、私が本当に酷い経験をしていなかっただけだとも思いました。一応自分が医者なのでわかったんですが、メンタルも体調も正常じゃなかった。そんなこと思いたくないのに『死にたい』『彼に社会的制裁を与えてやりたい』なんて思考が変な方向に向くし、身体のいろんなところが痛くなったり息苦しくなるんです。見えない闇に引きずり込まれるような感覚でした。
このまま頭がおかしくなるかもしれない。でも、いっそおかしくなってしまったほうが楽かもしれないとか、健康な時には絶対に考えないような精神状態に陥りました」
ちなみにその間も、タケルさんからの連絡は続いていました。
『何があったの?』『きっと君は誤解してる』『誤解されままでは辛いです。1度会ってください』『僕には恵那しかいない。とにかく話したい』など……。
「『抱ける女は5人同時に走らせるのが吉。するとこちらに余裕が出るため、勝手に全員沼ってくれます』なんて呟いてたくせに、どの口がそんなことを言うのか……人間不信もいいところです。
Twitterがバレたとわかり、彼の投稿の大半はすぐに削除されましたが、彼は女医や大手企業でバリバリ働いている、いわゆるハイスペックな女性や、またラウンジ嬢と呼ばれる水商売の女性を好んで遊びまわっていたことが判明しました。さらには、私が知らぬ間に海外旅行にまで行っていて……もう絶望です。ちなみに私は公園デートやピクニックで攻略されていましたが、他の女性には高級店や高級ホテルを使っていた様子もTwitterで知りました」
恵那さんはスマホ上に残っている彼のXのスクリーンショットを見せながら解説してくれますが、匿名のSNSの恐ろしさに背筋がゾッとしました。赤の他人ですら鳥肌が立つ内容なのに、これが1年交際した自分の婚約者のものだとしたら……想像を絶する体験です。
恵那さんが人間不信、情緒不安定になるのは当然だと思います。
しかしながら1年の交際中、二人はかなりの時間を一緒に過ごしていた印象。一体タケルさんは、どのように他の女性と遊び回る時間を作っていたのでしょうか?
Comment