見本誌
「本ができた!」という実感に包まれる瞬間

本を出したい! でも一体何すればいい? から始まったライターが振り返る「私の本ができるまで」_img0
1冊目のエッセイの見本誌が届き、箱を開けた瞬間を激写したもの。この時の興奮たるや……!

そして、最終のゲラを宅急便で送り、表紙や帯の文言を決めた後、発売の約1週間前に見本誌が届きます。見本誌とは「本の刷り上がり見本」で、実際店頭に並ぶものと変わりありません。発売の1ヵ月ほど前(ケースバイケースです)くらいにAmazonなどネット書店に予約ページが作られたとき、「やっと本が出るんだ!」という実感が沸き始めますが、見本誌が届いたときはさらに実感が強くなります。

見本誌は10冊くらい届くのですが、段ボールを開ける瞬間のドキドキは今でも忘れられません。この感動、人生でもあと何回味わえるか……と思うようなものです。カバーを取ったときの本のデザインも装丁家さんが工夫を凝らしてくれていて、手に取って初めて質感が分かります。産みの苦しみを味わっている分、出来上がった本はまさに我が子のような感覚。たまに「うちの子」と口走ってしまいます(笑)。

 


献本
「お手紙」も一緒に入れて、本に思いを添える


見本誌ができたら、あとは店頭に並ぶのを待つだけ! ではなく、ここでもう一つ、献本作業というものがあります。紹介してくれそうな媒体や、人、または純粋に読んでほしい人に、見本誌を送ります。誰に送るかは自分で決められます。

このリストアップがなかなか頭の悩ませどころ。1冊目のときに、献本してもなかなか紹介に繋がらないことを知ったので、2冊目のときは純粋にこの人に読んで欲しい! この媒体が好き! というところに送るようにしました。

献本は、必ずしも何かに結びつくわけでもなく、送って反応を待つしかない部分があります。でも、ダメ元で送ったら読んでくれたり、想像もしなかった素敵な反応が返って来たり、ドラマが生まれることもあります(それについては後編で書こうと思います)。

私は本だけ送るのもな、と思うタイプなので、送るときは手紙を添えるようにしました。一人ひとり文言を変えたので、結構時間がかかりましたが、一人ひとりを思い浮かべて書くのは楽しい時間です。

発売
聞けると嬉しいスペシャルワード「重版」


そしていよいよ発売! 出版不況と言われて久しいですが、やはり一般的な初版の部数は年々減り続けています。新人であれば数千部ほど。1日にものすごい数の本が発売される中で、当然、全ての書店に自分の本が並ぶわけではありません。本屋に行くたび、エッセイコーナーで自分の本がないか探しますが、見つからないことも多く、その度に少し落ち込んだりします。

ちなみに、「重版(じゅうはん)」という言葉を耳にすることがあると思いますが、売れ行きがいいと、追加で増刷することがあります。重版するって、物凄いことなんです。発売前重版(予約数がめちゃくちゃ多いと稀にすることがある)なんて、もう本当にとんでもない確率です。重版すればまたその分印税をもらえるので、著者にとってもとても大きなことです。でも、重版はしないことの方が圧倒的に多いんですよね。