“ファーストバイト”の説明にギョッとした

新郎新婦「定番」のシーンにジェンダーバイアスを痛感。家父長制の名残に困惑した「初めての結婚式」_img0
微笑ましく見ていたファーストバイト。その意味を聞いて、思わず「?」が浮かびました……。(イラスト=Sumi)

人生で初めて参加した結婚式。大好きな友人の今まで見た中で一番幸せそうな姿を見て、こちらまで幸せに包まれる素敵な式でした。その一方で、式の最中に引っかかったことがいくつかありました。

まず、“ファーストバイト”での出来事。ケーキをお互いに食べさせ合う時、司会の人がこうアナウンスしたのです。

「新郎から新婦へは、稼いで一生食べさせるぞ、という意味が。新婦から新婦へは、美味しい手料理を作り続けます、という意味があります」

これを聞いた時、思わずギョッとしました。それまで幸せな場面の連続で思わず顔がほころんでいましたが、一気に眉間にしわが寄りました。

もし、100歩譲って、夫だけ働いていて、妻が専業主婦とかならわからなくもないですが、披露宴の冒頭の新郎新婦の紹介の時に、新婦も働いていることは明らかにされています(しかもバリキャリ)。男が食べさせる、女は手料理、なんていったいいつの時代の話をしているのか。

でも、筆者は結婚していないので、結婚式の仕組みがわからなかったのですが、ファーストバイトのアナウンスはカスタムできるのかな? と思ったのです。数あるレパートリーの中から、本人たちがその文言を選んだなら、まあいいのかな、と。

しかし、後日新婦に聞くと、「いや、指定してなくて、ああいうアナウンスがされるって当日知ったよ。司会の人が勝手に言っただけ」と言ったんです。それを聞いて、血の気がサーッと引きました。

前回記事「「マナー」の正解がわからない! 初めて結婚式に出席したら「NGの嵐」に大混乱した話」>>

 


昔の普通が「今の当たり前」とは限らない


司会は50代くらいの女性でした。確かに、今の50代の方が若い頃は、そのアナウンスをしても誰も疑問に思わなかったことでしょう。確かに、ファーストバイトの最初の由来は「新郎から新婦へは、稼いで一生食べさせるぞ、という意味が、新婦からは、美味しい手料理を作り続けます」で間違いありません。

でも、時代は変わりました。男が稼いで、女が手料理なんてアナウンスに拒否反応を示す人だって少なくはないでしょう。

式場側との擦り合わせの問題もありますが、せめてそんな前時代的なアナウンスをするなら、事前に本人たちに確認すべきでは、と思いました。そのアナウンスを無許可でやってもいいと思っている、つまり、そのアナウンスは言うまでもなく、みんなが納得する普通のものだと思うような感覚の人がまだいることにショックを受けました。