介護で大変なことランキング
①肉体的負担
高齢になって思うように体が動かせなくなると、身体介護が必要になります。入浴、排泄、食事、着替えから移動補助など、心身状況に合わせて介護の範囲は異なります。要介護度が高くなるほど負担は増し、膝や腰の痛みなど、身体に不調が出始める介護者も少なくありません。自分より体格が良い相手はもちろん、体重が軽かったとしても、全身で頼られるとかなりの負担になります。
また、夜間にトイレ介助が必要だったり、認知症で昼夜逆転、夜間の徘徊癖などがあると、介護者は十分な睡眠が確保できず、疲れも溜まりやすくなります。
②精神的負担
たとえ家族であっても、価値観や生活習慣の違いからお互いの自分本位な言動に我慢できなくなり、言い争うケースは非常に多くあります。介助者は「介護をしてあげている」という意識が少なからず出てきますが、親側が介護されていることを理解しているかは疑問です。
介護をしているのに攻撃的な態度をされると、こちらも強い口調になり、後から自己嫌悪に陥ってしまうことも。また、きょうだいが非協力的だったり、ケアマネジャーや介護スタッフと相性が合わずにトラブルになるケースもあります。
医療脱毛専門院のリゼクリニックが40〜50代の介護経験者1100名を対象に行ったアンケートでは、「在宅介護で大変なこと」として、介護する相手とのコミュニケーションや介助における負担、精神的負担や時間の確保などが挙がっています。
在宅介護に必要なのは体力と気力
実際、私自身も母の車いす移乗を毎日続けているうちに、右膝に激痛がでるようになり、今でも正座をするのが難しくなっています。また、母は認知症だったので夜間家の中を徘徊することもあり、在宅介護中はやむなく母の部屋の隣のリビングで寝ていました。夜中起きてしまうので、睡眠時間を確保するために夜は9時くらいには床についていたものです。
2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると言われていますが、介護をする相手が認知症であるか否かによって、負担は大きく変わってきます。
精神的負担は、度々起こる入院の際にもありました。一緒に暮らしていても、目を離した隙に転倒して圧迫骨折してしまったり、どんなに注意しても誤嚥性肺炎を繰り返してしまった時期などは、自己嫌悪と「介護から逃げたい、だけど生きていて欲しい」という感情の狭間で、とにかく入院のたびに心配で心を痛めたものです。
在宅介護を担う家族が感じる負担は、同じように介護に携わる専門職の方々も感じています。介護労働安定センターが発表した「介護労働実態調査」では、介護職の労働条件・仕事の悩みとして、肉体的負担と精神的負担の両方が挙げられています。
次回の記事では、介護の負担を少しでも軽減するいくつかの方法をお伝えします。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
前回記事「投資をするならNISA?iDeCo?ゴールデンウィークに考えたい資産運用の話」>>
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