妻の外出を阻止すべく、夫のとった信じられない行動は...
そんな生活に耐えながらも、麻衣さんは育休を終え、晴れて職場に復帰。
やはり夫の希望で時短勤務でしたが、息子さんも保育園に入り、少しずつ社会との繋がりを取り戻していきます。
けれどまもなくして、麻衣さんは保育園の先生から呼び出されました。
「先生から、息子はかなり内向的な性格でお友達とコミュニケーションを取るのが苦手。特に『外遊び』を極度に嫌がると言われたんです。公園に入るのを嫌がって酷く泣いてしまったり、お友達とおもちゃの貸し借りがなかなかできないなど……個性もあるしそれほど深刻ではないけど、家庭でも少し意識してほしいと言われ、これは私のせいだと深く反省しました」
育休中、麻衣さんはほとんど家にこもっており、ママ友はもちろん、息子さんを連れて外出することもほとんどありませんでした。原因は夫の束縛でしたが、その影響が知らぬ間に息子さんにも出ていたのです。
「私が大人しくしていれば夫はご機嫌だったし、夫と息子の仲はよかったので、比較的大人しい子ではあるけど育児に支障はないと思っていましたが……息子があまり保育園に馴染めないのは私の責任で、それからだんだん目が覚めました。友達も作らず家にこもったままじゃ、息子の人生に悪影響が出てしまうと」
以来、麻衣さんはまず保育園のママ友と積極的に交流するように努めました。
幸いママ友コミュニティーの人間関係は良好で、保育園の帰りに近所の公園に寄ったり、週末に遊んだりするようになると、息子さんはみるみる変化。これまでなかった活発さややんちゃな姿を見せるようになったそうです。
「でも、息子と出かけるのも毎回本当に大変でした。一緒にいるママ友やパパの出自や職業なんかの説明を細かく求められ、いちいち見下したように難癖をつけるんです。報告義務で送った写真を見て『ブスな母親』『下品そうな子ども』と、息子の前でも平気で汚い言葉で罵っていました」
この頃から麻衣さんは、夫の息子さんへの悪影響を本気で考えるようになりました。
麻衣さん自身も夫の暴言に強く対抗することができず、精神状態が健康とは言えなかったため、我が子を心身ともに安全に健康に育てるためにはどうすればいいか自問自答していたそう。
そんなとき、麻衣さんにとって決定的な出来事が起きました。
「仲良くなった保育園のママ友に、『子どもをパパに預けてママだけで飲みに行こう』と誘われたんです。産後に1人で夜に出かけたことは一度もなかったですが、保育園の同学年のママが全員参加するイベントだったため夫に相談したところ、彼は文句を言いながらも渋々承諾してくれました。
なのに当日の出かける直前、私が支度をしていると、息子の具合が悪いとしつこく騒ぎ始めたんです」
しかしテレビを観ている息子さんに特に変わった様子はありません。にも関わらず、夫は「お腹が痛いと言ってた」「顔色も悪い!」「まさか病気の子どもを置いて夜遊びに行くの?」などと麻衣さんに詰め寄ったそう。
「私、この日を1ヶ月近くも物凄く楽しみにしていたので、何かがプツンと切れて……大騒ぎする夫を無視していたんです。そしたら……。
『ああ、こんな休日の夜にまだ4歳の子がお腹が痛いなんて大変だ! 救急車を呼ばなきゃ!』と夫は大騒ぎして、本当に救急車を呼んだんですよ……」
来週公開の最終話では、夫の束縛に限界を感じ離婚を考えたものの、破局ではなく意外な選択を試みた麻衣さんの心情を詳しく伺っていきます。
写真/Shutterstock
取材・文/山本理沙
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