更年期には特に子宮がん検診をきちんと受けてほしい


――更年期になって女性ホルモンの揺らぎがある状態でも、子宮がんになるパターンはあるのでしょうか。

ちえこ先生:子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんの2種類があります。子宮頸がんはほとんどがヒトパピローマウイルスの感染によるもので、初めて性行為を持った時からリスクがあります。性行為の相手がヒトパピローマウイルスを持っていたら感染し、数年から数十年かけて持続感染することで子宮頸がんになるので、年齢とともにがんになるリスクは増えます。子宮体がんは、エストロゲン依存性のものが多く、閉経後に増えやすいと言われています。


閉経後に身体はどう変わる?肌も髪も、腟も乾くように


――閉経後の身体の変化について教えてください。月経がなくなると女性の身体はどう変わるんでしょうか。

ちえこ先生:まずは妊娠できなくなるのが最大の変化ですよね。月経が全くない状態になり、女性ホルモンの変動がなくなることで、ホルモンの変動による不調は感じにくくなるというプラスの面もあります。

ただ、女性ホルモンのエストロゲンは女性の健康に寄与していて、肌や髪の毛をつやつやにしたり、骨を強くしたり、血管をしなやかにする作用があるので、閉経後は肌が乾燥しやすくなったり、髪の毛がパサパサになりやすくなります。 腟の分泌物も減るので、腟の壁が乾いて炎症を起こす萎縮性腟炎という状態になってしまうことがあります。

また、骨粗しょう症や生活習慣病のリスクが高まります。そのため、定期的に健康診断を受けたり、骨密度測定を受けたりして健康管理に気をつけたいですね。


――腟の乾燥や、萎縮性腟炎への対処法はありますか。

ちえこ先生:エストロゲンによって腟内の分泌物が減少するので、女性ホルモンを補うことである程度症状を緩和できます。小さい錠剤を腟内に入れる局所治療であれば、血栓症や乳がんのリスクも低く、症状を改善できます。

また、市販の女性ホルモン軟膏剤「ヒメロス」や「バストミン」などをドラッグストアやAmazonで購入して試してみてもいいでしょう。

 


――最後に、ミモレ読者に向けて産婦人科医としてのメッセージがあれば教えてください。

ちえこ先生:閉経をマイナスに考えず、新たな仕切り直しとしてプラスにとらえてほしいです。女性は、ひと月の中でも、人生全体でも女性ホルモンの変動に振り回されていますが、閉経後はその変動がなくなります。

月経がないことで旅行やファッションの選択肢が広がるなど、プラスの面もたくさんあります。そんなプラス面も知ってもらいつつ、これまで女性ホルモンが健康状態を守ってくれていた面もあることを忘れずに、閉経後は運動習慣や食生活に気をつけて、健康を維持してもらえたらと思います。

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構成・文/大槻由実子
編集/坂口彩
 

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