唯一救ってくれる言葉が、陳腐化してしまった
好きじゃない人から好意を向けられることが、不快・怖いという人は多いと思いますが、好きな人から好意を向けられたのに不快・怖いって感じてしまうことって、あくまで一般的にはあまり多くないのかなと思います。
蛙化現象ならぬ「なんなら好きだけど、相手が好意を示して来た瞬間吐きそうになる現象」は、筆者にとってはめちゃくちゃ深刻な問題なんです。
嫌悪感や恐怖感はもちろん、吐き気がする、固形物を受け付けなくなる、みたいな強い身体症状を伴うものなんです。もうこれ、一生両想いになれない呪い、じゃないですか。周囲に相談すると、「なにそれ(笑)、好きな人から好きって言われたら嬉しいものだよ、“普通”」って言われて、私っておかしいんだ、異常なんだって、どんどん思い詰めていきました。
この現象を世の概念で言うなら、「蛙化」という言葉以外になく、筆者にとっては蛙化現象という言葉は「私だけじゃない」って思える一筋の光だったんです。それが、急に流行語になり、意味が変わって「好きな人のちょっとしたことで幻滅する」みたいなライトな感じになって、言葉を奪われたようで、すごくショックだったんですよね。
「本当に好き」じゃないから…?
また、蛙化現象の存在って、「いくら好きな人にでもされたら嫌なことはある」、という証拠である気もするので、蛙化現象を軽く扱ったり茶化したりせず、一つの心の反応なのだ、と捉えるのがよいのではないか、と思うのです。
蛙化してしまう話を友人たちにすると、よく言われるのが、「本当に好きな相手になら、ならないんじゃない?」というもの。“本当に”好きの基準がよくわからず、果たして本当に好きになった人になら好意を持たれても吐き気を催さずに済む日がくるのか……今はわかりません。
「なんなら好きだけど、相手が好意を示して来た瞬間吐きそうになる現象」にフィットするネーミングって他にないかな、と考えたりします。例えばイルカ化とか猫化とか(笑)。だいぶ特殊な現象なのかもしれませんが、もし、私もそれになります! という方がいれば、ぜひ教えてください。
イラスト/Sumi
文/ヒオカ
構成/金澤英恵
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