今はSNSでだれでも情報を発信できる時代。あなたが知りたかった情報は、誰かがネットの海で発信しているかも。本特集は、ミモレ編集部から「新たな視点を得ることができる」「癒しになる」「知らない世界のリアルがわかる」情報をSNSで発信し、密かにバズっている人=「バズり人(びと)」さんのSNSアカウントをご紹介します。
今回は、日本の伝統発酵食品・みりんの活用法を広める「#みりん女子会」を開催している設楽賀奈子さんにインタビュー。京都のみりんメーカー宝酒造(株)でみりんの商品企画・広告宣伝・レシピ開発などマーケティングに15年間従事し、みりんの虜になったという設楽さんに、みりんの奥深い魅力についてインタビューしました。
みりんメーカー勤務時代からみりんを広める活動をしていた
――なぜ米粉とみりんのお菓子・パン・料理が学べる「#みりん女子会」をはじめたのか、みりんをお菓子作りに使おうと思ったきっかけについて教えてください。
設楽さん:昔から食べることが大好きで、食から健康の予防や治療に携わりたいと思い、栄養士の資格を大学で取得しました。食から健康にアプローチするには和食が一番だと思い、日本の伝統的なお酒や調味料を扱う宝酒造に入社しました。
入社後は「タカラ本みりん」に携わり、食育イベントなどでみりんを広める活動を行なっていました。商品企画部門に配属され、四六時中みりんのことばかり考えていた34歳の頃、婦人科系の疾患が発覚し、もっと自分の体や心をいたわる必要があると感じ、食習慣を変えようと決意したんです。
砂糖の代わりにみりん、小麦粉の代わりに米粉を使い、無添加や農薬不使用の食品を選ぶなどの食生活を実践しました。その結果、便秘や冷え性、体重の変動などの不調が改善されました。これが今の活動の原点である砂糖や小麦粉を控える食生活の始まりでした。
その後、結婚による引っ越しや体力的な面から会社を辞めざるを得なくなったのですが、みりんの魅力を広めたいという思いが強く、オンラインで自宅からみりんを発信する方法を考えました。自身の経験から女性が求めているレシピの発信を続けたいという思いから、「#みりん女子会」を始めることになったんです。
砂糖とみりんの違いとは?
――砂糖の代わりにみりんを使うということですが、砂糖とみりんの違いとはどのような点なのでしょうか。
設楽さん:まず、原料がサトウキビとお米というところが違います。
また、砂糖が精製食品であるのに対して、みりんはお米と米麹からできている発酵食品です。400年以上の歴史があるみりんですが、まだまだお米生まれの発酵食品であることは知られていないのが現状です。
甘みの強さの違いとしては、みりんの甘味度は砂糖の約3分の1です。しかし、みりんには米麹の力でお米が分解、熟成される過程でできた、多種多様な甘味や旨味、複雑な香りがあるので、優しい甘みでもしっかりとした甘さを感じられるのが特徴です。
お使いのみりんの蓋を開けて、香りを楽しんでいただくとわかるのですが、芳醇な甘い香りにほっとリラックスできる効果もあります。
「お菓子としてちゃんと甘いの?」と思われる方も多いですが、甘味がキーになるレシピには、半量に煮詰めて甘味や香りを強くした「みりんシロップ」を活用していることもポイントです。
優しくて穏やかな甘みと、艶っぽくて美しい香り⋯⋯みりんは「女性」
――長年、みりんに携わってきた設楽さんが思う、みりんの魅力とはどのようなものですか。
設楽さん:まず、砂糖を使わずに美味しいお菓子や料理を作れるので、脱砂糖ができることです。砂糖を控えたいけれど代わりに何を使えば良いのかわからないなど、「甘味迷子」の方は多いと思います。日本人なら自国のお米生まれの発酵食品みりんを甘味に選ぶという選択肢があるというのは大きな魅力です。
また、みりんはGI値が砂糖の約7分の1で、血糖値を抑制すると証明された研究結果もあり、体や心に優しい調味料という強みもあります。
また、みりんは「女性」らしい魅力があります。優しくて穏やかな甘みがあり、艶っぽくて美しい香りがするところがとても女性らしいと思うんです。
私はみりんを語る時に、「甘美」という言葉をよく思い浮かべます。「甘美」が意味する「ほどよい甘さやうっとりした気持ち」をみりんはまさにもたらしてくれます。特に、お米や米麹由来の複雑な甘い香りは、お米を主食とし、発酵食品に親しんできた日本人にとって懐かしい気持ちや癒し、安心感を得る香りとも言われます。
女性にとって、香りは癒しですよね。「#みりん女子会」では、みりんでお菓子や料理、パンを作ったり、みりんシロップを作る時間そのものにリラックスできるという声も多いです。
また、脇役だけでなく、実は主役になれる強さもあるところが、「凛とした女性」のようだと感じます。肉じゃがに入れると、「なんとなく美味しくなる調味料」程度に思われがちだったみりんが、その甘味や旨味、香りで洋菓子や洋食を美味しくする肝になるということが伝わると、余らせていて困っていたみりんが、なくてはならない存在へと皆さん変わります。
#みりん女子の皆さんからはストックがないと不安になると言ったお声がある程、お守りみたいな調味料になっている方もおられます。
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