クラスみんなが、それぞれの子の行動を受け入れ、手を差し伸べる
6月、年長クラスで「おたんじょうかい」が開かれました。この日の誕生会としてみんなで楽しむゲームは「フルーツバスケット」がいいと決まったようです。鬼役の子が「イチゴ!」「リンゴ!」「バナナ!」などと言うと該当する子が席を移動し、「フルーツバスケット!」と言うと全員が移動する定番のゲームです。
ゲームが始まってまもなく、鬼役になったC君が床にしゃがみこんでしまいました。ASD児が椅子に座れず鬼役になったのです。すると、ある子がC君の近くへ歩み寄り、「何がいい?」と声を掛けました。その様子を見て、他の2~3人の子もC君の近くに寄ってきて「どうしたい?」「イチゴがいい?」などと声を掛けます。クラスには誰一人として「早くして!」とか「決めて!」とか言う子はいません。みんな、C君がアクションを起こすのをじっと待っています。
その後、C君の小さな声を聞きとったお友達の一人が「リンゴ!」と宣言。また一気に盛り上がります。C君もクラスのみんなに促されて空いた席へと移動しました。
ゲームが進む中、同じくASD児のDちゃんの靴が脱げてしまいました。するとすかさず、近くの子が履かせようとします。でも、なかなかうまくいかず、ゲームは一時中断を余儀なくされます。
このように、本園のゲームはいつも「わちゃわちゃ」しながら進みます。傍から見れば、テンポよくゲームが進みませんから、何ともまとまりがないように見えてしまうかもしれません。けれども、テンポよく物事が展開すれば安心というのは、大人側の視点ではないでしょうか。大切なのはASD児も含めて、みんながそれぞれにそれぞれの子の行動を受け入れ、ときに手を差し伸べながら、クラス全体がそのクラスのペースで楽しむことです。
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