空気ばかり読んで、空気みたいに生きたくはない

成田凌「若い頃は、どこか自分が特別でいたかった」30代を迎えて語る過去と現在_img0
 

――灰川邸事件のキーマンとなるのが、小日向文世さん演じる灰川です。灰川が放った「みんなが決めたルールが正しいのか」「自分のルールは自分で決めろ」という台詞がとても印象に残りました。

僕にとっても、印象的だった台詞の一つです。ドラマや映画の現場もそうですが、別の国の方と一緒に仕事をすると、その臨機応変さにびっくりします。それに振り回されることもあって、日本の制度はしっかりしているなと思う反面、そういった臨機応変さはものづくりの現場では必要だとも思います。だからもし演じながら台本に書かれている文字と心が離れてしまいそうになったときは、決まっていることだからとやり過ごすのではなく、その都度みんなでちゃんと話し合って、人間が動いているんだということを大事にやっていきたいです。

 


――難しいですよね、ルールって。必要なものでもあり、でも時に疑問に思うものでもあり。

そうですね。だから、大切にしながらも鵜呑みにはせず、疑問に思ったことはその場で確認するようにしています。ルールだから、ということだけで動くのは苦手で、そこに至った経緯や理由をきちんと理解してから動きたいんだと思います。


――思考停止をしない、って大事だと思います。

20代の頃は、自分がやりたいことに一直線でした。大人になった今は視野が広がり、周りのこともよく見えるようになった。でも、お芝居でもそうですが、自分の感覚を信じて思うままに進んでみるのは、若いうちにやっておいてよかったことの一つです。

成田凌「若い頃は、どこか自分が特別でいたかった」30代を迎えて語る過去と現在_img1
 

――やっておいてよかった。

空気ばかり読んで、空気みたいに生きたくはないなと。もちろん世の中には決まりごとがいろいろあって、それによって守られていることもたくさんあります。でもその上で、自分の中には確かな軸をもっていたいです。


――成田さんの仕事における「自分のルール」は何ですか。

やっぱり愛情を持つことかな。ものづくりの現場では時に意見が分かれることもありますが、いい作品にしたいという愛情がちゃんとそこにあるなら、議論を重ねることでより深まるものもあると思っています。