多種多様な仕事の依頼がある中で、何を断り、何を受けるか、どういうことに時間を使うのか、他人の物差しが加わると、ぶれてしまう。また、やると決めたのが自分だと逃げ場もなくなり、やり抜く覚悟も決まる。「こんな風に生きたくなかった、こんな風に時間を使いたくなかった!」と最後に言っても、誰も責任を取ってくれない。自分の人生に責任を取れるのは、自分だけだ。

「番組が終わったのは住吉さんのせい」傷つきながら試行錯誤して行き着いた、50代の「自分働き方改革」【住吉美紀】_img0
コロナに罹患して入院中の2週間、経験したことや、生き方について考えたことを書き記したノートは今も時折、読み返す。

今の私の働き方を決める基準は「時間」「人生においての意味・モチベーション」「人とのご縁・仲間」「社会貢献」「お金」この5つの項目を照らし合わせて考える。いただいた仕事を受ける時も、自分で主体的に動く時も、基準は同じ。働き方の全体像を俯瞰して、この5つのバランスが取れているかどうかが、幸せに働けているかの指標になる。50代はこれをさらに意識して働きたいと思う。人生一度きり。幸せじゃないと、稼いでも意味がない。

先日、新紙幣の渋沢栄一の『論語と算盤』を勉強していたら「適材が適所で働き、その結果として何らかの成績を上げることは、その人が国家社会に貢献する本当の道である」(守屋淳訳『現代語訳 論語と算盤』<ちくま新書>より)という言葉を見つけて、あまりに共感。自分が思っていたことを、渋沢さんも唱えていたと知って、とても勇気が出た。

自分という肉体と精神が、社会のどこで一番生き生きと働けるのか、そこでどういう働き方をするのか、どういう時間を重ねて人生を創っていくのか、それを自ら考えて働くことは、社会全体の健康度と直接繋がっていると思う。だからこそ今、「人それぞれの働き方改革」が進むといいなと思う。人から「何時までに退社」とか決められるのではなく、自分のために自分で決める、働き方改革を。
 

 


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