「賛辞」のあり方を考えた、パラ選手たちの言葉

——肩書きや表記に違和感を感じても、大人の事情というのもあるから、普通だったら飲み込んでしまう気もするんです。でもその違和感をちゃんと伝えて、相談したんですよね。結果として、「リポーター 三上大進」という肩書きに変更になったそうですね。

三上:自分の肩書きが障害者と健常者の「溝」を逆に際立たせてしまうんじゃないかという悩み、葛藤があることは、ちゃんと伝えるべきだと思ったんです。

それに対して、周囲の方たちはきちんと受け止めてくれました。確かに時間はかかりましたが、ないがしろにされることは決してなくて、新しい肩書きを考え続けてくださったことには、今でもすごく感謝しています。

 

——インスタライブをされたときに、視聴者の方から「パラ選手に対してむやみにかっこいいって言っていいの?」という質問がきたそうですね。三上さんが実際選手に聞いてみたら、「かっこいいと言われたい!」という答えが返ってきた、というエピソードが印象的でした。他にも選手たちの本音が垣間見えたことはありましたか。

三上:取材をしていて、どのパラ選手からも言われた言葉があります。オリンピックにしてもワールドカップにしても、アスリートだから結果を求められる。全力でやって、ダメだったら「ちゃんとやれよ!」みたいなブーイングやバッシングがくる。それが、スポーツの世界じゃないですか。一方、パラリンピックは、たとえ負けても、転んだり失敗してうまくいかなかったりしても、拍手をされる。それは、選手たちは全然嬉しくないって言うんです。

私たちは全力でやっているのだから、失敗したら怒られるべきだし、しっかりしろよって言われるべき。それは障害のあるなしに関係なく、アスリートとしてやってること。だから、拍手は素晴らしい結果を掴み取ったときに、賛辞としてしてほしいと。

自分たちは感動を届けようと競技しているのではなく、「一流のアスリートとして勝ちにいっている」。どの選手も、そう言っていたのが印象的でした。