もうすっかり大人になった私、いろいろ変わったけど変わらないもの


もうすっかり大人になったのだから、12年ぶりのディズニーランドはのんびりと大人の余裕で全部乗れへんくてもいいし、観れへんくてもいいから、悠々と気ままに過ごそうと思っていたのにもかかわらず、いざパークに入ればせっかく&もったいない精神のメーターが爆上がり。幼馴染と共にパークの中を縦横無尽に駆け回り、座っていたのはほとんどアトラクションに乗っている時だけで、食事はアトラクションの待ち時間を利用してまるでマラソンの給水所かのような感じで栄養補給をし、無料のプライオリティパスだけではどうしても全部乗ることが出来なかったので、そこは大人の余裕をきっちり発揮して有料の早く乗れるサービスを2回使い、結局開園から閉園までみっちりと全力でディズニーをやり切ったのであった。

楽しみにしていた12年ぶりのパレードはディズニーランド開園40周年を寿ぐパレードで、私が子どもお涼だったときは10周年とか15周年の頃だったから、ずいぶん時間が経ったのやなあ、私もディズニーもいろいろ変わったなあ、と感慨に耽りながら周りを見渡せば、そこにいる人々はなんだかみんなが善意のかたまりみたいでほわほわにこにこ、普段は世界にバリアを張っているような人もここに来ればバリアがぺりっと剥がれて、知らない人に話しかけられても肩の力を抜いて話せるような、微笑んだりできちゃうような、そんな不思議な安心感を抱き、開放的になれてしまうのはやっぱりミッキー師匠の魔法のせいなのだろうか。

「この生活が私のパレード」30年前に夢の国で見た魔法から私はまだ覚めていないのかも【坂口涼太郎エッセイ】_img0
写真提供:お涼さん

そして、パレードで溌剌と踊られているダンサーさんを見ながら、せっかくダンスも習っていたのだからパレードダンサーやってみたかったなあ、散々ごっこ遊びでディズニーのキャストさんになりきっていたから、ディズニーランドでアルバイトでもしたらよかったのになんでせえへんかったんやろうなあ、などと考えていたけれど、今の私の仕事はまさにそんなごっこ遊びの延長で、衣装を着て、メイクをして、何かになりきってパフォーマンスをするこの生活が私のパレードであり、ゲストとしてディズニーランドに来ていたあの頃の憧れは私の中で今もずっと続いていて、その憧れの延長に私はいるのかもなあ、沿道にいる人々に笑顔を振り撒くように私は仕事をしていて、まだ夢から覚めていないのかもなあ、と、やっぱりいつ見てもわくわくするパレードを見ながらほふほふしていたら、いよいよミッキーが私の前を通りかかるところで、私は全力で手を振りながら「ミッキーーーーー!!!!!」と呼びかけたら、ミッキーはかつて放尿しながらパレードで絶叫していた私に向かって満面の笑みで投げキッスをしてくれて、これが魔法か。

 


<INFORMATION>
坂口涼太郎さん出演
ドラマ「Sunny」
(Apple TV+で配信中)

日本の京都に住む、あるアメリカ人女性の人生が一変。彼女の夫と息子が不可解な飛行機事故で消息不明となってしまう。そして、夫の電子機器会社が製造した新型の家庭用ロボット・サニーと暮らすことになる。


文・スタイリング/坂口涼太郎
撮影/田上浩一
ヘア&メイク/齊藤琴絵
協力/ヒオカ
構成/坂口彩
 

「この生活が私のパレード」30年前に夢の国で見た魔法から私はまだ覚めていないのかも【坂口涼太郎エッセイ】_img1
 

前回記事「「変わっちまったよ、お涼は!」ディズニーランドに学校を休んで通った紙チケット時代の思い出【坂口涼太郎エッセイ】」>>

 
  • 1
  • 2