想像の翼を広げ、おしゃべりで個性あふれる赤毛の少女アン。不朽の名作『赤毛のアン』が、この秋、新作バレエになってやってきます! 鳥取の若き才能が主軸となり、K-BALLET TOKYO、新国立劇場バレエ団、谷桃子バレエ団などのプロのダンサーたちと一緒に創る、日本で初めてのまったく新しい舞台です。バレエの新作ってどうやって創るの? 舞台の見どころは? そんなことを知りたくて、指揮・音楽監督の井田勝大さんに「新作バレエ 赤毛のアン」の魅力を伺いました。
古典バレエの魅力が詰まった「新作バレエ 赤毛のアン」
――「新作バレエ 赤毛のアン」は全三幕の本格的な演目として、10月に鳥取県とりぎん文化会館で上演されます。井田さんはスタートから全体をプロデューサー的にまとめていらっしゃいますね。なぜ今回、『赤毛のアン』を題材として取り上げたのですか?
井田勝大さん(以下、井田さん):今ではすっかり人気のバレエ演目になっている「シンデレラ」や「ロミオとジュリエット」は比較的新しい作品ですが、原作は古典文学です。バレエに取り上げられる作品に共通しているのは、設定がしっかりしていることと、一度知ったら忘れられない魅力的なエピソードがあることです。そういった視点で見ると、『赤毛のアン』はバレエ化をするのにぴったりな作品でした。
例えば、『赤毛のアン』で、アンがマシュウと出会う前の親戚を転々としていたころの話は、「シンデレラ」にすごく似ています。また、物語の最後にアンがギルバートと結ばれていくところは、ちょっと状況は違いますが、ロミオとジュリエットが運命的に魅かれ合うようなロマンスを思い起こさせますよね。「コッペリア」のスワニルダと友人たちとの友情のシーンも、アンの学校の友だちとのやりとりに近いものがあります。
「新作バレエ 赤毛のアン」のなかでも、クリスマスコンサートのとき、友だちがひとりずつ前に出て踊るシーンがあるのですが、ちょうど「くるみ割り人形」のお菓子の国で踊られる、いろいろな国のディヴェルティスマン(余興の踊り)のような雰囲気でつくっています。
――なるほど、『赤毛のアン』は成長物語もあるし、すてきなロマンスもありますから、バレエ向きの作品なんですね。
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